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『プロミシング・ヤング・ウーマン』 [上映中飲食禁止]

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明るい未来が約束されていると思われていたものの、理解しがたい事件によってその道を絶たれてしまったキャシー(キャリー・マリガン)。以来、平凡な生活を送っているように思えた彼女だったが、夜になるといつもどこかへと出かけていた。彼女の謎めいた行動の裏側には、外見からは想像のできない別の顔が見え隠れしていた。(シネマトゥデイより)

小生が憧れる審美眼をお持ちのLaby様のレビューに魅かれての鑑賞なのです[かわいい]

一言では表現できない魅力に溢れた作品であり同時に困惑も付きまとう不思議な作品だ。サスペンスを装いながら極太の社会派ドラマであり、アーティスティック度も非常に高い。流石、Laby様^^

冒頭から戸惑いと衝撃なのである...

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あのキャリー・マリガンがこんなに変貌していようとは[がく~(落胆した顔)]「ドライブ(2012)」「わたしを離さないで(2011)」での可憐だが意志の強いキューティ・ブロンドに胸キュンだったのだが、ほとんど狂った「ハーレイ・クイン」状態ではないか[exclamation&question]

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毎夜クラブで派手な衣装で泥酔し、男に「お持ち帰りされる女」を演じる。餌食にされる寸前に正気に戻り、男の『股間』と『プライド』をズタボロにして帰る正体不明の美女キャシーを演じる。医師免許も持つ英才でありながら、昼間は喫茶店で無愛想なアルバイトととして生計を立てている。誰にも心を開かず、ナンパ男への復讐を繰り返す彼女の「怒りの源泉」の謎がサスペンス調に解き明かされて行くのが前半部だ。学生時代のパーティで、泥酔した男子生徒に慰め者にされた親友が心に闇を抱えたままその後に自殺して以来、キャシーは女性の弱みに付け込む男性を毛嫌いし、事あるごとにそんな彼らを痛めつけていたのだ。
ようやく親友を死に追いやった張本人の消息を知った彼女は、男性全般への仕返しから具体的な標的への復讐劇を開始する。それは、犯人を不問に付した当時の関係者から見て見ぬ振りをした者にまで向けられる。キャシーの用意周到かつ冷酷無比な手法は、観る者を快感に導く。キャリー・マリガンがシーンごとに纏う個性的なファッションとアートなセット、展開と不釣り合いな音楽の挿入が、観る者の快感と不安感を双方増幅させる稀有な脚本・演出だ。

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女流監督らしい視点から独特な表現法を用い「女性蔑視」を強く訴えた力作である。だが、その本質は更に深い。「殴った者は忘れるが、殴られた者は忘れない」「犯した罪は一生消えない」という男女差別を超越して『罪と償い』の意味を問う。国家間で言えば、現在も重くのしかかる日本と韓国の戦争犯罪問題であり、卑近な例なら東京オリンピック直前に過去の問題で辞任・解任されたクリエイター達だ。更に、他人の罪を見過ごした者も同罪だと作品は突きつけてくる。こんな重すぎるテーマを、視覚・聴覚に残り続ける敢えてアンバランスな演出に封じ込めているのだ。ラストシーン〜後味の悪さも天下一品であり、終映後も喉に小骨が刺さったままの感覚が残っておれば、それこそ製作陣の思う壺に他ならない。凄い映画だ[ぴかぴか(新しい)]




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Labyrinth

絶妙な筆の運びに爽快感すら感じてしまう程でしたっ \(^_^)/ 快哉~♪
流石 江戸っ子つむじかぜさん♪ 端切れの良さが堪らないです~♪
by Labyrinth (2021-09-02 23:21) 

つむじかぜ

> Labyrinth 様
Laby様におだてられれば木に登りまする^^;
by つむじかぜ (2021-09-04 02:54) 

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