SSブログ

『サマーフィルムにのって』 [上映中飲食禁止]

[ぴかぴか(新しい)]なんと爽やかでキモチ良い作品だ[ぴかぴか(新しい)]

R5Jj6_4f.jpg

黒澤明やマキノ雅弘などの時代劇映画を愛する高校3年生のハダシ(伊藤万理華)は、所属する映画部が青春恋愛映画ばかりをつくっていることに不満を抱いていた。ある日、ハダシの前に武士役にぴったりの凛太郎(金子大地)が現れる。ハダシは仲間とともに時代劇をつくろうと張り切るが、凛太郎はタイムトラベルで現代にやってきた未来人だった。(シネマトゥデイより)

青春の甘酸っぱさと映画への熱き想いが一杯詰まった宝石箱みたいな作品だ。若手俳優陣のフレッシュな演技が夏の涼風となってスクリーンからそよぐ。ウイットに富んだ設定と小気味良い演出を観るにつけ、主人公以上に製作陣の映画愛を感じてしまう。

女子高生ハダシ(伊藤万理華は映画部所属だが熱狂的な時代劇ファンの為、変わり者の扱いだ。文化祭に上映する映画部の作品がベタなラブコメとなり、彼女は反旗を翻し独力でガチな時代劇の製作を決意する。親友である天文部のビート板(河合優実)、剣道部のブルーハワイ(祷キララ)と一風変わった男子生徒達を集め製作チームを組む。そしてハダシが街中で時代劇にピッタリと一目惚れした凛太郎(金子大地)を強引にスカウトし、主役に抜擢だ。ラブコメ製作の主役兼監督である花鈴(甲田まひる)とのプライドを賭けた女子高生監督の戦いの火蓋が切って落とされ、素人軍団のハダシチームは悪戦苦闘を繰り返しながらもクランクアップ目前となる。そんな時、凛太郎がタイムマシンでやってきた未来人と知る。彼は、後に巨匠となるハダシの作品の狂信的ファンであり、更に彼の時代には「映画はほぼ死滅」しているのだった。悩めるハダシ監督の記念すべき第1作は完成するのか、それは彼女自身が納得できる作品となったのだろうか...

ハダシが素晴らしい[かわいい]
元乃木坂46と言われてもピンと来ないのである。昨今の大人数グループの個人を見分ける芸当を持ち合わせておらず、限界はキャンディーズ3人までだなと思い込む爺いにとって、主演の伊藤万理華は新鮮な驚きだ。元アイドルとは思わせない存在感だ。

maxresdefault.jpg

乃木坂時代
2.jpg

ショートカットでボーイッシュに変身し、時代劇オタクの熱血監督をコケティッシュに演じた。今作の観客にはアイドル時代のファンも多いと思われるが、前歴・先入観抜きに将来有望な女優だと確信できる。川栄李奈か末は永作博美か、割と玄人好みのタイプかな。ハダシを囲んだ共演陣も今後の活躍が楽しみだ。河合優実、祷キララ、そして今作の脚本家・三浦直之が手掛けた『NHKドラマ腐女子、うっかりゲイに告る。』の主演も演じた金子大地。

5Y8.jpg

summerfilm_05.jpg

異彩を放ったのはハダシのライバル役の花鈴を演じた甲田まひるだ。彼女の方が元アイドルの様なキラキラ女子高生を演じたが、16歳でジャズピアニストデビューし、SSW・モデル・女優などマルチで活躍する二十歳のアーチストだ。劇中でも彼女の楽曲が使用されている。とにかく最近の日本の若者は凄いと思う。東京オリンピックでも再認識したが、スポーツ界も芸術界も世界に通用する若者が着実に成長している。日本の将来を嘆く人々も多いが、小生はさほど悲観していない。政治界もいずれ変わる。こんな若者がいる限り、まだまだ日本の未来は明るい。こじ付けがましいが、この作品にも、そんな暗喩を感じるのだが...

Pfo.jpg

konsyunokao1909724-768x1013.jpg

PLANKTON

PLANKTON

  • アーティスト: 甲田まひる a.k.a. Mappy
  • 出版社/メーカー: ソニー・ミュージックダイレクト
  • 発売日: 2018/05/23
  • メディア: CD
 
今作には大人はほとんど出演しない。高校の教師も主要人物の家族も存在感無しであり、彼らの自主製作映画同様に、若者しか登場しない異質な作品なのだ。一見、日常の高校生活を描きながら、実は若者の青春エキスのみを凝縮して一気に解き放つ大胆不敵な構成なのだ。80年後には、1分以上の映像作品は皆無となり、世界中から映画館は消えたと未来からの青年は話す。現在すでに、映画や小説を5分程度でエッセンスのみを理解させる動画や書物が増えている。最近、高額な賠償金でニュースにもなった「ファスト映画」などだ。そんな軽薄な鑑賞法で心揺さぶる映画に出会えるはずはないにだが、トレンドらしい。若き製作陣の映画への熱き想いが、『映画も恋愛も素晴らしいものは未来に繋がるんだぁ〜』と、純粋にひた走るハダシを座頭市に扮装させ、表面上の薄っぺらいものを一閃でぶった斬る[むかっ(怒り)]文化祭のラストシーンの爽快感は、近年の邦画では抜きん出ている。異色の傑作である[グッド(上向き矢印)][グッド(上向き矢印)][グッド(上向き矢印)]




nice!(25)  コメント(0) 
共通テーマ:映画

nice! 25

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。