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鳩の街通り商店街〜昭和散歩道〜 [寫眞歳時記]

休日、昼下がりの炎天下に自宅から一番近い商店街を歩いてみる。商店街とは言っても、休日の為に開いている店自体が皆無なのだが、そもそも幼少の頃の往時の賑わいは完全に失われてしまっている場所なのだ。

鳩の街商店街・・・玉の井(現・東向島駅界隈)に在った遊郭が戦時中に焼け出され、この地に移転し、戦後は『赤線』として発展した。吉行淳之介、永井荷風が作品の舞台として取り上げている。小生が生まれる数年前(1958年)に売春防止法が施行され、すべての業者が廃業し、一般商店に衣替えした。

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小生の幼少の記憶を紐解けば、商店街の入口に「向島金美館」という立派な映画館があり、親に連れられ怪獣映画を初めて観た経験が蘇る。『大魔神』(1966年)の大仏が人々を襲う恐怖感は脳裏の片隅に未だに残っている。思い出の映画館は程なく廃業しスーパーマーケットに変わり、そのスーパーも最近になって洒落たマンションに建て替わっていた。アーケード入口を飾るべきモニュメントの半分は崩れ落ちたまま放置され、鳩をイメージしたオレンジマークが寂しい。

休日とはいえ人影も無い
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商店の撤退・廃業も続き、赤線時代の家屋も建て変わり、今や歯抜け状態の商店街となってしまった。だが、ゆっくり歩いてみると、戦後の雑踏の香りが僅かに残り、その遺産を活かした若き商売人達の息吹も感じられる街並みになって来ている。

戦中からの面影を残す銅板貼りの建物は僅かだが昭和レトロな店舗は散見される
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僅かに残った色鮮やかなタイルや磨りガラスにありし日の歓楽街を想う
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一方で古い建物のリノベーションや活性化事業も進んでいるようだ

路地尊と自転車タクシー「輪ぽっぽ」は本日休業中
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チャレンジショップ〜アパートの空き部屋を格安で解放
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古民家カフェ「こぐま」
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当時の特殊カフェらしき建物も今は喫茶「千輪」
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鳩の街通りプロジェクト『ハトハウス』
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久しぶりに此処に通うと少しづつ以前の風景が変わっている事に気づき寂しくなる。銭湯「松の湯」がしばらく前に廃業取り壊しとなり、今回は商店街の出口で存在感を示していた雨宮酒店が跡形もなく更地になっていた。古い建物が老朽化で消えて行くのは仕方の無いことではあるが、せめてその地域の風景や歴史と調和するような建築物に建て替わるのを望む。私の知る限りでは、ほとんどは無味乾燥なマンションの乱立が続く。『原色の街』が徐々に色褪せている。

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コメント 4

lequiche

よい写真ですね。
何度も魅入ってしまいました。
by lequiche (2022-08-14 01:07) 

ゆうみ

やっぱ 兄貴の住処の近所だわ
by ゆうみ (2022-08-14 11:34) 

つむじかぜ

> lequiche 様
ありがとうございます。
2分割画面が増えてしまいましたが、幼少から知る場所への思い入れも写り込んでいたら嬉しいです^^
by つむじかぜ (2022-08-15 02:57) 

つむじかぜ

> ゆうみ 様
落ち着かれましたら、是非おいで下さいませ。
by つむじかぜ (2022-08-15 02:59)