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憂国忌 [寫眞歳時記]

早いもので母の三度目の命日を迎える。実は同じ日付に自分が敬愛した文人が亡くなっていたことを、不覚にも今まで全く気づいていなかった...

小学3年生だった私が学校から帰宅すると、母が興奮して話しかけてきた。

「さっき大変な事件が起きたのよ。有名な小説家が自衛隊で切腹したのよぉ〜」

少年はまるで事態を飲み込めなかったが、「切腹」という言葉だけが強烈に脳裏に焼き付いた。そして後日、その小説家の名前を知る。『三島由紀夫』といった。

中学2年の夏休みの読書感想文の宿題で、図書館で何気なく手に取った小説が「金閣寺」だった。次の年に修学旅行で京都に行くし、作者が聞き覚えのある名前だったからだ。初めて触れた長編純文学に一気に惹き込まれた。三島文学の真髄を当時の中学生が理解できる訳は無いのだが、ただ文体の美しさに感銘し、悩める主人公の最後の選択に驚愕するのだった。以来、三島の主要作品を読破した。「憂国」「仮面の告白」「禁色」「豊饒の海4部作」思春期の青年には刺激的な内容も多く、特に右傾化や同性愛に関しては丸ごと享受した部分が多く、今思えば「俺も子供だったな」と恥いる次第だ。一方で、自分のその後の人格形成において少なかず影響を受けたことも認めざるを得ないのだ。

三島由紀夫の自宅が現存していると知る。
スマホでググりナビに従って車を走らせば、憧れの目的地に着けてしまう恐るべき時代なのだ。南馬込の豪邸は固く門が閉ざされていたが、表札は当時の所有者のままであり、前庭の三島が愛したアポロ像の後ろ姿を僅かに垣間見ることが出来た。

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現在も平岡家(三島)の相続人が個人宅として所有しているらしく、写真撮影は心苦しい処もあるが、小生の三島愛につきお許し頂きたい。

11月25日。
母と敬愛する文人に手を合わせる。

金閣寺 (新潮文庫)

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  • 作者: 由紀夫, 三島
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2024/11/24
  • メディア: 文庫
三島由紀夫の家

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  • 出版社/メーカー: 美術出版社
  • 発売日: 1995/10/01
  • メディア: 単行本

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コメント 2

青山実花

私も三島由紀夫さんの
「肉体の学校」を若い頃読んだ時は、
ピンときませんでしたが、
大人になって、
映画を観て、再読もしてみたら、
それはもう大感動でした。
若い時の感性だけが、
感性ではないのだと思いました^^

三島さんの家、
私も行った事があります^^

by 青山実花 (2024-11-26 08:49) 

つむじかぜ

> 青山実花 様
年齢に応じて、見るもの・読むもの・聴くものも感じ方が変わりますね!呆けずに大事にしていきたいです^^

by つむじかぜ (2024-11-27 00:11)