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晩秋を楽しむ①〜銅御殿〜 [寫眞歳時記]

今まで原則非公開だった旧磯野家住宅が知らぬ間に事前予約に限り定期的に公開されていた。レトロ建築好きとして当然の如くネット申し込みをし、晩秋の紅葉と共に楽しんで来た。

丸の内線茗荷谷駅から徒歩5分ほど、筑波大学東京キャンパス(旧東京教育大学)正門の通りを挟んだ向かい側に重厚な木造の門扉が見える。

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旧磯野家住宅は主屋が大正元年、表門が翌2年に実業家の磯野敬によって建てられた。金に糸目を付けず厳選された材料を使い、国内の名工達が斬新な創意工夫と技術の粋を結集して完成させた住宅は、近代和風建築の傑作と呼ばれている。
当時では先進的な耐震構造により関東大震災ではほぼ無傷であり、東京大空襲も潜り抜けた強運の持ち主の木造住宅は、東京都内でも有数の戦前の語り部でもある。主屋の屋根は銅板葺、外壁にも銅板が使用されていることから『銅御殿』(あかばねごてん)の愛称が付けられている。

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定員予約制につき10人足らずのメンバーが表門前に集合し、予定時刻にガイドスタッフの方に案内されてこの開かずの扉の脇の勝手口から内部に入場する。詳細な説明付きの約1時間の鑑賞ツアーのスタートだ。現在の邸宅の所有者であるホテルニューオータニの大谷家が経営する大谷美術館が、貴重な文化遺産保護に向け、クラウドファンディングと一般開放を実施しているのである。
軽い上り坂の砂利道を歩き前庭に出ると急に視界が広がり「銅御殿」の主屋が見えてくる。表通りからは決して眼に触れることのない築110年の木造建築だ。

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大規模改修はせず、ほぼ当時の姿のままの邸宅内部の見学となる。撮影は自由だが、防犯上の理由から内部構造が分かる写真の外部掲載は控えて欲しいとの事なので、意匠部分中心なのであしからず。

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噂通りの匠の技に息を飲んだ。意匠の素晴らしさに目を奪われがちだが、実は建築技術そのものも凄いらしい。詳細な設計図は残っておらず、過去に本格的な改修もしていない為に、工法的な謎が未だに多いという。東日本震災で少し剥がれた壁を調査すると、なんと内部は15層に及んでいたという逸話が残る。築1300年の法隆寺五重塔ではないが、日本の木造建築技術は古の時代から引き継がれているのだ[ぴかぴか(新しい)]
建築物は他の芸術品と違い寿命があると信じ込んでいたが、決してそうのように決めつけられないと考えさせられた。あと、やはりガイドさんの説明も聞くと理解度が格段に上がるのを今更ながら気づいた。自分のペースで鑑賞したい独りよがりの短気な爺いは少々反省するのであった。面倒がらずに専門家や音声ガイドの力を借りよう、特に最近はパンフレットが老眼で読みにくいので...[あせあせ(飛び散る汗)]

まだ日が暮れるには早い。一服して次の場所に移動だ〜[わーい(嬉しい顔)]




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コメント 8

よしあき・ギャラリー

素晴らしい建築物ですね。
ため息が出ます。
by よしあき・ギャラリー (2024-12-02 09:01) 

hagemaizo

このような建物が、こんな場所が。
by hagemaizo (2024-12-03 08:24) 

JUNKO

すばらしいものを見せていただきました。このような建築物が残っていることは日本の宝です。
by JUNKO (2024-12-03 13:20) 

Labyrinth

流石 つむじかぜさま ( ´艸`) お目の高さに改めて敬服するばかりです!
いつになく?有難く拝見♪ (^人^)
by Labyrinth (2024-12-03 15:05) 

つむじかぜ

> よしあき・ギャラリー 様
隠れた名建築です!
by つむじかぜ (2024-12-05 22:52) 

つむじかぜ

> hagemaizo 様
まだまだ知らない所にあるかも知れませんね。
東京も奥が深いです!
by つむじかぜ (2024-12-05 22:56) 

つむじかぜ

> JUNKO 様
宝を残す努力が必要な時代です!
by つむじかぜ (2024-12-05 22:57) 

つむじかぜ

> Labyrinth 様
とにかく面白そうな処にはとりあえず行ってみるを心がけると
こんな素敵な出会いが待っています!

by つむじかぜ (2024-12-05 23:03)