いちかつ【とんかつ・両国】 [江戸グルメ応援歌]
加齢と共に昔ほど豚カツを食べなくなったが、それでも無性に動物性油を欲した時に行く店だ。40年以上通っている秋葉原の『丸五』のベストワンは未だに揺るがないのだが、最近の異常な人気ぶりで滅多に行けなくなってきた。
『いちかつ』はJR両国駅の高架下にあるリーズナブルな大衆店である。豚カツの高級店はキリが無いのだが、味と値段と居心地に納得がいく店は案外少ない。この店は安くて旨くて気分が良いファーストフード的とんかつ屋なのだ。
L字カウンター17席、店内に待機用の丸椅子10個もすぐ埋まり、食事時は店外にも行列が出来る人気ぶりだ。普段の小生ならその時点でパスなのだが、この店の凄さは立食い蕎麦並の回転の良さなのだ。揚げの職人は一人のみ、3名が盛り付け、食器の上げ下げ、食洗を分業してこなす少数精鋭のフォーメーション。10人待ちでも10分程でカウンターに座れる。初めて伺った時に4名のあまりに無駄のない動きに感動を覚えたのだった。この究極の省力化が、低価格での高級店並の味の提供に繋がっているのだ。残念ながら今月から値上げとなったが、それでもロース定食850円、ヒレ定食1050円のコスパの素晴らしさは食えば分かる![[パンチ]](https://blog.ss-blog.jp/_images_e/153.gif)
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以前はロースしか頼まなかったが、此処のヒレかつを食ってから宗旨替えした。千円でこのレベルは、個人店では太刀打ちできないだろう。絶妙の柔らかさと赤身の旨みを閉じ込めてしっかりと揚げている。エビフライをトッピングしてもプラス300円だ。
ロースもどう見ても850円の肉質と味ではない。カナダ産らしいのだが、3倍の値段の国産銘柄豚肉と比較してはいけない。この値段で最高の味を引き出す店の努力に感服するほかないのである。ライスは他店なら大盛レベルの盛りの良さ、味噌汁はしじみ汁が定番だ。白を貴重にした清潔な店内も好印象である。外見は気楽な豚カツ店だが、実はシステムと発想の転換が生んだファーストフードとんかつ店の新しい業態なのだ。
究極のグルメブームが飲食業界に新たなムーブメントを生んでいる。「鰻の成瀬」が高価格路線に殴り込みをかけたように、伝統手法や既存概念を打ち破る担い手がそれぞれの分野に出現している。食の満足度は百人百様、金に糸目をつけず美食を求めるのも良し、究極のコスパに価値を見出すも良しだ。小生は、安くて美味くて世辞は無くても店員が小気味よく働く活気のある店が好きだ。「いちかつ」と「丸五」は対極のとんかつ専門店だが、私の中では居心地の良さと満足度はほぼ同列なのだ。まさに日本の食文化の多様化と奥深さは世界に誇るべきものである。さぁ、明日のランチからしばらく低カロリー食だな![[あせあせ(飛び散る汗)]](https://blog.ss-blog.jp/_images_e/162.gif)
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ボリュームありますけどおいしそうです。私もヒレカツ食べたくなるときあります。婆さんしてはすごい食慾です。
by JUNKO (2024-12-14 20:43)
これは人気があって当然です。
多少の行列はしょうがないですね。
by よしあき・ギャラリー (2024-12-15 05:41)
> JUNKO 様
小生も爺いにしてはよく喰うと終われます^^;
by つむじかぜ (2024-12-16 00:08)
> よしあき・ギャラリー 様
とにかく行列の捌き方が効率的なので、待たされ感が非常に少ないです!
by つむじかぜ (2024-12-16 00:10)