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COCCO新譜『クチナシ』 [歌姫列伝]


クチナシ [初回限定盤B]

クチナシ [初回限定盤B]

  • アーティスト: Cocco
  • 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
  • 発売日: 2021/02/17
  • メディア: CD

COCCO11枚目のオリジナルアルバムが発表された。

1997年のデビュー以来ハマり続けた歌姫であり、2001年の休養前のコンサートへはオッチャン一人で駆けつけ、圧倒的な女性ファンに囲まれながら感涙に咽たのものだった。復帰後は、過度な商業手法に嫌気が刺した面もあり、付かず離れずの1ファンとなったが、彼女の発する楽曲だけは常に耳を傾けている。

最近の新譜に付き物の限定版やらSPECIAL BOXなどのCD購入をせず、今回はハイレゾ音源をダウンロードしてみた。我が家のハイレゾ試聴の環境もようやく整ったし、何せこれば一番安いからだ。


デビュー当時は楽譜も読めない二十歳の女性の口ずさむ唄を、オルタナ系のロックに昇華させた根岸孝旨の手腕が、COCCO成功の要因であると私は考える。『言葉の重み』を大切にした彼女の世界観と心の叫びが、70年代ブリティッシュロックを彷彿させる分厚いサウンドに乗って、小生の胸を掻き毟ったのだ。復帰後は、SINGER SONGERでの「くるり」との邂逅を皮切りに、多くの音楽家からの影響を吸収し、彼女の音楽は多様化し、日増しに逞しくなって行く。触れる者はすべて斬り刻むような鋭利なナイフを、重い鉈に持ち替えたように、歌は自信に満ち溢れ、沖縄民謡からヒップホップまで多ジャンルの要素を貪欲に取り入れて行く。


今作は、前述の師匠であり盟友の根岸孝旨をプロデューサーに迎え、まさに「COCCOロック劇場」の集大成のような作品である。昨年の自粛期間中に作り溜めた作品(Demo公開済)が、根岸節により彩りを増し、「横綱相撲」みたいな懐の深いオトナのアルバムに仕上がっている。考えてみれば、小生は還暦目前となり、COCCOは四十路の1時の母なのだ。原点回帰を仄かに匂わせつつ、復帰後20年の彼女の進化を見せ付けると同時に、とめどめない彼女の歌心がまだまだ際限ない事を窺わせる。


01. White dress     ハープの調べに美しい英語の歌詞と思いきや...ドカーン
02. 女一代宵の内   ストリングを多用し歌謡曲風のアレンジと展開が斬新  
03. Supernova       フリージャズも取り入れた〜珍しく日本語・英語チャンポン歌詞
04. 悲しい微熱    タンゴのリズムがお洒落な一品
05. ひとひら           根岸アレンジが光る静かなるロックだが、深い、重い、美しい
06. 花咲か仁慈        沁みるヴォーカル、沖縄民謡をベースにした美しい歌曲
07. ダンシャリアン  この曲のみ河野圭がプロデュース 彼女の新しい一面を引き出す
08. アイドル            歪んだギターをバックにアカペラ風に澄んだ歌声、全くブレない
09. 青葉      文部省認定COCCO風唱歌 少年少女合唱団参加
10. 潮満ちぬ    万人受けする往年の「静」のCOCCOらしさ全開 ドラム良い
11. Rockstar           一転して「動」のCOCCO〜ロック一直線
12. ソリスト      ドラマチック仕立て ピアノ・弦楽器・エレキGのアンサンブル
13. 夜喪女     ツインギターの王道ロックからジャズエッセンスをピリリと
14. 想い事     COCCO自らの三線演奏
15. 真白の帆            ラストを飾るに相応しい彼女の「唄」を堪能

5曲目「ひとひら」


昨年のDEMO曲→6曲目「花咲か仁慈」


[るんるん]彼女が歌い続ける限り、生涯付いて行くと思う[るんるん]

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目黒の河津サクラ [寫眞歳時記]

東京の日中の気温は20度近くになり、早合点の啓蟄では無いが、冬眠中だった我家のクサガメが目を覚ました。長い自粛期間、休日は半巣篭もり状態の夫婦も、辛抱足らずに出掛けることとなった。本日は、あまり足を運ぶ事が少ない目黒界隈を散策して来た。

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『目黒・林試の森公園』
[かわいい]河津桜が一気に八部咲き[かわいい]
〜小生達と同様に、居ても立っても居られないひと足早い花見客で溢れていた〜

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公園のベンチでコンビニ弁当を食し、密を避けてそそくさと脱出し
近場の神社仏閣を探索する事とした

目黒不動尊
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参道の商店街はコロナ対策でひっそり
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蛸薬師
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少々足を伸ばして「碑文谷教会(サレジオ教会)」へ
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今回の首都圏の緊急事態宣言の延長が、オリンピック開催に向けて意図的に感染者数を減らしたい政策が反映された事は自明の理である。開催の意義を議論もせず、ひたすら突き進む昭和の政治家達の姿勢に、国威発動を連呼した大戦下の大本営を連想する若者も多いかも知れない。日本国民は賢く、かつ逞しい。この1年で、見え透いた国政に面従腹背の姿勢を取りつつ、自己防衛手段を学んだような気がする。五輪開催は、まさに五里霧中(洒落では無いが)ではあるが、世界中が賞賛する決断を望むし、仮に強引に開催に漕ぎ着けるなら、かつての商業五輪とは別次元の祭典を世界に示して欲しい。ただ時間が無い。安倍内閣の負の遺産が大き過ぎた。すべてリセットandゴーだな。

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ヨーロッパJAZZに身を委ねる [偏愛カタルシス]

[るんるん][るんるん][るんるん]気分を変えたい時、無性に聴きたい音楽[るんるん][るんるん][るんるん]

VAGEN / ヴァゲン (直輸入盤 帯ライナー付 )

VAGEN / ヴァゲン (直輸入盤 帯ライナー付 )

  • アーティスト: TINGVALL TRIO (ティングヴァル・トリオ)
  • 出版社/メーカー: DISK UNION JAZZ (原盤:SKIP RECORDS / GERMANY)
  • 発売日: 2011/09/21
  • メディア: CD



TINGVALL TRIO(ティングヴァル・トリオ)・・・ドイツで活躍するピアノトリオである。10年ほど前に、Tレコードで視聴して一発で購入した1枚だ。これほど「瑞々しい」音のJAZZは初めてだったのだ。3人から繰り出される音は、すべて非常に明快で、不純物が一切含まれないピュアモルトの如く自信に満ち溢れ、叙情性溢れるメロディと明晰なリズムからなる多様なオリジナル曲は、単に耳に優しい美音楽ではなく、しっかりと熱いJAZZの息吹が感じられるのだ。澄み渡る響きのピアノが奏でる旋律が心を蕩けさせれば、一転、フリージャズのようなインプロヴァイゼーションが胸を焦がす。リーダーでありピアニストのマーチン・ティングヴァルは北欧スウエーデン生まれだ。彼のピアノは、透き通る寒さの白夜の宙に響き渡る鐘の音に聴こえる。
 
アルバム収録のメローな曲をLIVEで


キース・ジャレットも大好きなピアニストだが、彼ほど情念が篭ったタッチではなく、リスナー側も気負わずに聴ける。BGMとしても快適だし、大音量でしっかり向き合えば心が洗われ軽くなる。保有CDは大分売却したが、彼らのアルバム4枚は手放せないでいる。

CIRKLAR

CIRKLAR

  • アーティスト: TINGVALL TRIO
  • 出版社/メーカー: SKIP
  • 発売日: 2017/07/28
  • メディア: CD
Skagerrak

Skagerrak

  • アーティスト: Tingvall Trio
  • 出版社/メーカー: Skip
  • 発売日: 2007/05/07
  • メディア: CD
Norr

Norr

  • 出版社/メーカー: Rideau Rou
  • 発売日: 2011/07/25
  • メディア: CD





〜チック・コリアを偲ぶ〜


小生がロック少年だった70年代、音楽界は「クロスオーバー」「フュージョン」なるジャンルが興隆を迎えていた。当時の一流のJAZZマン達がアコースティックから電子楽器に持ち替えて、単調なビートから複雑なリズムの楽曲に挑戦し始めた。要するにJAZZミュージシャンが卓越した技術でロックっぽい曲までガンガン演るのである。当然、歌無しのインストルメンタル曲だが、興味を持ったロック少年が初めて買ったクロスオーバーの作品がこれだ。

浪漫の騎士(期間生産限定盤)

浪漫の騎士(期間生産限定盤)

  • アーティスト: リターン・トゥ・フォーエヴァー
  • 出版社/メーカー: SMJ
  • 発売日: 2016/04/27
  • メディア: CD

        聴いて、ぶっ飛んだ[どんっ(衝撃)][どんっ(衝撃)][どんっ(衝撃)]


今まで聴いていたROCKとは別次元のスピード感と高度な演奏テクニック。この超人的グループを率いていたのが、チック・コリアだった。既に前衛的JAZZに邁進していたマイルス・デイビス・グループから離れた彼は、リターン・トゥ・フォーエヴァーを結成し、更にそれを進化させたのだ。私は、この作品を契機にモダンジャズにまで傾倒してしまい、結果としてその後のチック・コリアの作品に関わる事は少なくなってしまった。だが、ある意味、小生の音楽ジャンルの節操の無さのキッカケをくれた恩人は彼なのかも知れない。
 
[るんるん]今、聴いても新鮮[るんるん]

スタンリー・クラーク(B)、アル・ディ・メオラ(G)も凄かった[かわいい]


〜素敵なエレピの調べと口髭に合掌〜


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埋もれていた歌姫〜イメルダ・メイ [歌姫列伝]

約1000枚分のCDデータを保存し、800枚ほどを売却した。最初の300枚は、あまりの下取り価格の低さに呆然としつつもブックオフに売却。残り500枚は慎重にと、ディスクユニオンで現在査定中だが、専門店の方が多少高額で引き取る事が可能と信じて、返答を待っている状況だ。

大量のCDを整理していると『こんなの買ったっけ?』という代物と多々対面する。今更ながらに聞いてみると、結構、素敵な作品が多いのだ。
そんな1枚に、小生好みの歌姫を再発見[るんるん][るんるん][るんるん]

ライフ・ラヴ・フレッシュ・ブラッド

ライフ・ラヴ・フレッシュ・ブラッド

  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック
  • 発売日: 2017/04/07
  • メディア: CD
 
この一曲目から引き込まれた。



イメルダ・メイ(Imelda May)・・・アイルランド出身のSSW、御歳46歳。以前、ジェフ・ベックと共演して少々話題になったくらいで、日本では無名に近い。当作品は2016年発売だ。多分、憧れのギタリストとの共演動画を観て、寝落ち寸前状態で密林ポチッとしたものの、お蔵入りになったに違いないのだが、今、聴くと素晴らしい[かわいい]小生好みの柔らかい声質と陰影に富んだ表現力、シャウトしても耳に刺さらない子音の美しさ。冒頭はメローな曲だが、アルバム全体は示唆に富んだ楽曲が並ぶ。ジェフ・ベックは1曲のみの参加だが、これまた小生垂涎のギタリストであるマーク・リボーが全面参加。T-ボーン・バーネットがプロデュースを務めたアメリカン・ルーツ・ミュージックを下敷きにしつつ洗練された作品に仕上がっている。
彼女の履歴を調べると、この作品以前は、ロカビリーバンドで活躍していた。当時の彼女は、まるで別人の如くの容姿なのだが、演奏のレベルが凄い[exclamation×2]
ロカビリーと言いつつ、JAZZとROCKのビートと熱さをとり入れた極上のパフォーマンスを魅せてくれる。




歌姫を取り巻く、ほぼ禿げ上がったオッサン連中の演奏の迫力たるや、感動的である[わーい(嬉しい顔)](ギタリストの旦那様とは既に離婚)2003年のメジャーデビュー以来、このバンドで活躍していた彼女はロカビリー界では人気を博していたが、2010年のジェフ・ベックとの共演から著名な別分野の音楽家からも注目され始め、今回のアルバム発表に繋がったようだ。言うなれば、2016年の本作が、ロカビリーから離れた彼女のターニングポイントなのだ。長年の鍛錬で培われた彼女の歌唱力は、メインストリームの演奏家に囲まれて、さらに一歩高みに駆け上がったようだ。「ロカビリー界の美空ひばり」は、何を歌っても、やはり凄いのだ[パンチ]と、まさにアルバムタイトル通り、彼女の人生の岐路での渾身の一作なのだ。

アルバム全曲が彼女の手によるものだ。ソングライターとしての素質も花開いた感があり、こんなキャッチーかつメッセージ性の強いポップスも書けるのだ。




今春には、4年ぶりのNew[NEW]アルバムを発表の予定だ。当然、小生は予約済みなのだが、こうやってまた、CDが増えてくるんだろうな...と、ストリーミング配信では納得できないアナログ親父の姿に我ながら呆れている。

それより、彼女に棄てられたロカビリー親父達の現在が非常に気になるのだが...

11 Past The Hour

11 Past The Hour

  • アーティスト: Imelda May
  • 出版社/メーカー: Decca Records
  • 発売日: 2021/04/23
  • メディア: CD


緊急事態宣言下の自粛期間。

亭主は久しぶりに音楽に没頭しておるのだが、妻の方と言えば、「鬼滅の刃」にハマりまくっている。コミック本を中古で全巻を揃えるまでは、まだ良かったのだが、関連コミックからグッズ、現在、英語版全巻入手に執念を燃やしている。

旦那のCD売却により、一瞬片付いた部屋に、女房が『大正鬼滅コーナー』を設置した為、モノが全く減らないカオス状態の我が家なのでした...[がく~(落胆した顔)][がく~(落胆した顔)][がく~(落胆した顔)]

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