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『白頭山大噴火』 [上映中飲食禁止]


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北朝鮮と中国の国境付近に位置する火山・白頭山で、観測史上最大級の噴火が発生する。噴火によって大地震も誘発され、ソウル市内のビル群が倒壊するなど人々はパニックに陥る。白頭山の地質研究の権威である大学教授カン(マ・ドンソク)がさらなる大噴火の発生を予測したことを受けて、韓国政府は韓国軍大尉チョ・インチャン(ハ・ジョンウ)と彼が率いる爆発物処理班に対し、北朝鮮に潜入して火山沈静化を図る秘密作戦の遂行を命じる。そのためにインチャンたちは、作戦成功の鍵を握るとされる北朝鮮人民武力部の工作員リ・ジュンピョン(イ・ビョンホン)を見つけようとする。(シネマトゥデイより)

SFアクションの王道を行く韓国の大作だ。ハリウッドの名作の既視感オンパレードだが、そんな事はお構いなしに突き進むパワーに酔いしれる。

白頭山(ペクトサン)の噴火により韓国全土に大地震が襲う設定である。地震大国に生まれ育った日本の観客からすると、冒頭のビルの倒壊シーンなどは「地震でこんな倒れ方はしない」のは脳裏に焼き付いおり、荒唐無稽な描写に失笑を禁じ得ない。コテコテCGの「インセプション倒壊状態」の中を乗用車が猛スピードで疾走などすれば、「地震が身近ではない国」との違いを隣国でありながら感じてしまう。そう我がニッポンは世界基準で見れば「災害大国」であるのを再認識する。

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ストーリーは、この荒唐無稽さをパワーアップして突き進むのみだ[どんっ(衝撃)] 白頭山は更に3回の噴火を繰り返し、最後に引き起こされる地震により朝鮮半島の80%が壊滅するという分析がされた。4度目の噴火を止めるには、地下深くのマグマ近辺を人為的に爆破し噴火エネルギーを分散するしか方法は無い。だが、その爆発には核爆弾級の威力が必要だった。核を持たぬ韓国政府は、北朝鮮の秘密基地に侵入し核弾頭を盗み出し、白頭山地下で爆破させる計画を打ち出す...なんと無茶な...いや、これが映画じゃ[わーい(嬉しい顔)]

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その特殊任務メンバーに選出されたチョ・インチャン大尉をハ・ジョンウが好演。徴兵で爆弾処理班に所属するが、除隊期限目前で臨月の妻の元に戻るのを心待ちにしている優しき男だ。北朝鮮への侵入作戦は、まさに「ブラックホークダウン」か「プライベートライアン」並みのシーンの連続だ。白頭山爆破チームの輸送機が火山灰で墜落し、核弾頭の設置のみで帰還予定だった戦闘経験の無いチョのチームが最後まで遂行する羽目になり、彼がリーダーに任命されてしまう。最初の関門が、核爆弾倉庫の場所を知るリ・ジュンピョン(イ・ビョンホン)の救出である。スパイ容疑で北朝鮮内に投獄されているが、中国とのパイプもあり二重スパイの可能性もある危険人物でもある。

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イ・ビョンホン〜韓国内では大スターのようだが、小生は『JSA(2000年)』での兵長役での活躍しか知らなかった。20年が経過し、苦みばしった中年男に再会である。深みのある感情表現は当然見事だが、お尻丸出しの野糞シーンも厭わず、またそれが絵になる俳優だ。チョ大尉に協力し、核弾頭の抜き出しを成功させ、部隊は爆発地点の白頭山に向かう。だが、国境近くでの核使用を阻止したい中国が暗躍し、リ・ジュンピョンに極秘の指令を下す。一方でアメリカも韓国政府の危険な賭けに危惧し、作戦中止を要請し北朝鮮内に米軍を投入する。各国の思惑が蠢く中、三竦み四竦みの戦いが展開されていく「007シリーズ」状態へ。互いに命を賭けて任務遂行を目指す謎のスパイ・リとチョ大尉の運命はいかに...果たして白頭山の噴火を止められるであろうか...

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脇役陣も多彩な上に、人物描写も丁寧な演出だ。青瓦台の女性幹部役チョン・へジンとアメリカ籍科学者役マ・ドンソクがアメリカの監視をかいくぐり遠隔地のチョ大尉に情報を送る。妻役ぺ・スジは、身重でありながらダム決壊の大洪水に飲み込まれても無傷で(笑)、夫の帰りを待つ。北朝鮮内の激闘一辺倒でなく、ソウルの3人3様の行動と心情も並行して描き、作品に抑揚がつき、終盤のクライマックスに寄与した。

ラストはまさに『アルマケドン』[ひらめき][ひらめき][ひらめき]  さてブルース・ウィリスはイ・ビョンホンかハ・ジョンウか[exclamation&question] 韓国映画のパワーを感じさせる娯楽大作だった。




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