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『BLUE GIANT』 [上映中飲食禁止]

[るんるん]音楽ファン必見[るんるん]

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仙台に暮らす高校生・宮本大。ジャズに魅せられてテナーサックスを始めた彼は、来る日も来る日も河原でテナーサックスを吹き続ける。卒業を機に上京した彼は、ライブハウスで同世代のピアニスト・沢辺雪祈の卓越した演奏を聴いてバンド結成を持ち掛ける。取り合わない沢辺だが、聴く者を圧倒する宮本のサックスに胸を打たれて話に乗り、さらに宮本の熱意に感化されてドラムを始めた高校の同級生・玉田俊二も加わって“JASS”が結成される。日本のジャズシーンを変えようと、彼らはまい進していく。(シネマトゥデイより)

今、ジョン・コルトレーンの初リーダー作を聴きながら書いている。
コルトレーン (Prestige)(SHM-CD)

コルトレーン (Prestige)(SHM-CD)

  • アーティスト: ジョン・コルトレーン
  • 出版社/メーカー: Universal Music
  • 発売日: 2016/08/24
  • メディア: CD
高2の頃にコルトレーンに出会い、ロック小僧からにわかJAZZファンになった。以来、定期的に友人と新宿ピット・インに通うようになり、ロックとは違う生の迫力と即興演奏の奥深さを身体中に浴びた学生時代だった。
今現在、JAZZが世間で支持されているとは思えないのに映画としては結構評判だったので半信半疑のとりあえずの鑑賞だった。だが冒頭で、コルトレーンの名曲「インプレッションズ」のテーマが吹かれた瞬間、一気に引き込まれ、青年期の厚き血潮が蘇って来た[むかっ(怒り)]

原作漫画は3部作の長編で今も連載中である。本作は、18歳のサックス奏者・宮本が初めてバンドを組み、プロデビューするまでの第一部をアニメ化したものだ。映画2時間枠に収める為に細かなストーリーは相当割愛されていると思われるが、原作未読でも十分楽しめる極上の仕上がりになっている。

原作者のモダンジャズへの愛とコルトレーンへの崇拝がスクリーンから溢れ出る。全体を通した心地良い熱量を支えるのは、音楽の秀逸さである。原作漫画には実際の演奏は流れないが、今アニメでは現役ミュージシャンの演奏が挿入されている。音楽監修はジャズピアニストの上原ひろみだ。メンバーの演奏シーンは、ほぼ上原のオリジナル曲で構成されるが、若さ漲るコルトレーン風の楽曲が見事にストーリーと合致しているのだ。しかも演奏中の細かい動きや運指までが実物の演奏と寸分違えずアニメーション化されている圧巻の仕上がり。プロの演奏家も納得の作り込みなのだ。

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「世界一のジャズプレイヤーになる!」と仙台から上京した宮本大は、高校時代の友人・玉田の下宿先に転がり込む。アルバイトをしながら毎夜猛練習に明け暮れる宮本は、偶然に同年代のピアニスト沢辺と出逢い、意気投合しバンドを組む事になる。ドラム奏者を探す中、宮本の演奏に心打たれた玉田は唐突にドラマーに立候補する。野生のテナー奏者、天才ピアニスト、ど素人ドラマーのトリオ『JASS』は、紆余曲折を繰り返しながら実力を身につけ、遂にプロが夢見るJAZZクラブ「SO BLUE」(現実ではブルーノート東京と思われる)への出演を勝ち取る。だが、公演直前に沢辺が交通事故に巻き込まれ、右腕に全治不能の大怪我を負う。残された二人は周囲の反対を押し切り、ピアノ抜きでのステージに立つ決意をするのであったが...

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ドラムの玉田くんがいいなぁ[ぴかぴか(新しい)]無為な学生生活に嫌気がさし、いきなりプロの世界に飛び込む非常識さ以上に不断の努力を厭わぬ熱い情熱が素晴らしい。二人だけで臨むステージでのドラムソロには思わず涙腺が熱くなってしまった[もうやだ~(悲しい顔)]ラストシーンでのJASS3人での最後の演奏は、御涙頂戴に流れすぎる嫌いはあるが、映像と音楽の一体感は「アニメもここまで来たか[exclamation×2]」と感嘆するに十分のレベルだった。3人の成長を静かに見守るJAZZ喫茶の女主人(元JAZZヴォーカリスト)も妙に素敵だった。昔はこんなJAZZ喫茶が学生街にたくさん在った。原作漫画は各登場人物描写を更に掘り下げているはずで、あと30分長尺になっても宮本の中高校時代の背景を描いてくれたらと思うのは少々贅沢か。声の出演はプロの声優では無く、渋めの若手俳優を起用し、自然体の雰囲気を大事にしている。田舎っぽさを出す為、主役は山田裕貴だったが、一直線の演奏同様に声質に野性味が加われば更に印象が強くなったかもしれない...場面によっての3DCGの導入は迫力溢れる作画とのバランスを崩し少々興醒め。粗もあるのだが、それを補って余りある作品が発する圧倒的な熱量にやられてしまうのだ[パンチ]
 
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音楽系アニメは年甲斐も無く話題作はほとんど観る。古くは「のだめカンタービレ」「けいおん!」から「響け!ユーフォニア」まで。昨年末に放送された「ぼっち・ざ・ろっく!」にハマり過ぎて、昔のエレキギターを引っ張り出して30年ぶりに弾いている今日この頃。日本アニメの進化は止まる事なく世界のトップランナーを疾走中だが、今作の精密な映像と同期した練り込まれた挿入音楽により、更に高みに昇った感だ。ジャンルを問わず音楽が好きな方には是非とも鑑賞して欲しい作品だ。
熱い[exclamation]熱い[exclamation]熱い[exclamation]真っ赤を通り越して青く光り輝く魂の音楽をご体験あれ[むかっ(怒り)]

作中では宮本の過去の関係者のインタビューが挿入されており、すでに宮本大が世界的なプレイヤーになっている事を物語る。JASS解散後、彼がヨーロッパに単騎で乗り込むシーンで今作は終わるが、宮本の栄光への道筋と袂を分けた沢辺、玉田の行く末に興味が尽きない。次回作にも期待だ...と、その前に我慢できずに漫画を読んでしまうかも知れないが。




ブルー・トレイン+3(SHM-CD)

ブルー・トレイン+3(SHM-CD)

  • アーティスト: ジョン・コルトレーン
  • 出版社/メーカー: Universal Music
  • 発売日: 2016/09/28
  • メディア: CD
ジャイアント・ステップス<SHM-CD>

ジャイアント・ステップス<SHM-CD>

  • 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
  • 発売日: 2016/06/29
  • メディア: CD
この二枚のコルトレーンの名盤から『ブルー・ジャイアント』の題名が決まった?

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