『フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン』 [上映中飲食禁止]
これぞ古き良きアメリカ
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人類初の月面着陸に挑むアポロ計画が始動して8年が経過した、1969年のアメリカ。ソ連との宇宙開発競争で後れを取る中、ニクソン大統領に仕える政府関係者のモー(ウディ・ハレルソン)を通して、PRマーケティングのプロであるケリー(スカーレット・ヨハンソン)がNASAに雇われる。手段を選ばないケリーのPR作戦が、NASAの発射責任者のコール(チャニング・テイタム)の反発を押し切りつつ成功を収める中、彼女はモーからあるミッションを指示される。(シネマトゥデイより)
「人類初の月面歩行の映像はフェイクだった
」・・・現在でもまことしやかに噂される米の都市伝説並みの「真実?」に迫るエンターテイメント作品だ。アポロ11号の快挙とその裏側で進む国家の陰謀を当時の世相を再現しながら、シビアかつユニークに描き切った。
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冷戦時代、「ソ連より早くに月に行く」史上命令の元に進んだアポロ計画だったが、ベトナム戦争の長期化により当初の遠大な目標は世論や議会の支持を徐々に失いかけていた。政府は失地回復に向け、腕ききの広告のプロフェッショナル・ケリーをNASAに送り込む。
彼女がスクリーンに現れるだけで、映画の色合いが鮮やかになり、観客を60年代のアメリカに連れて行ってくれる。アラフォーのスカーレット・ヨハンセンの咽せ帰るような色香が圧倒的だ。元々は小生のタイプではないのだが、お下品一歩手前のムチムチボディに爺いもイチコロなのでございます
そしてNASAのロケット発射責任者コールにチャニング・テイタム。朝鮮戦争で活躍したパイロットで、元軍人らしい生真面目な堅物を好演だ。初対面から惹かれ合う二人だが、仕事上では水と油の関係に陥る。ケリーの常識はずれの宣伝手法に辟易するコールと模本的過ぎる彼に不満が溜まる彼女の対比が楽しい。
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ケリーのPR作戦が功を奏し、アメリカ全土で月面着陸の夢が高まっていく。そしてソ連の宇宙開発の猛追に危惧するアメリカ政府は、国威発揚の為にさらに手を打つ。万が一、アポロが失敗した場合に備え、月面着陸の映像を作成しておけとの指令がケリーに下される。
前半部は人類初の偉業に向け一丸となったNASAの姿が克明に描かれ、過去のアポロ作品にもあるような王道の展開が進むが、陰謀が蠢く中盤からサスペンス要素も加味されていく。秘密裏に進むフェイク映像作りは至難を極めるが、ドタバタのコメディ調に描かれ、この陰謀自体が茶番であることを示唆するようなシリアス感ゼロの作り込みに好感度◎だ![[exclamation&question]](https://blog.ss-blog.jp/_images_e/159.gif)
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愛するコールに打ち明けられず苦しむケリー。実は彼女は国際的なプロ詐欺師であり、このミッションを成功すれば過去の経歴を全て帳消しする条件を政府のメッセンジャーから受けていたのだ。コールが宇宙飛行士になれなかった理由、アポロ1号計画で犠牲者を出した責任を背負った過去を知り、彼の夢を叶えさせたい想いが更に強くなるケリーはついにある決断をするのであった...
熱波を吹き飛ばす爽快な娯楽作だ![[わーい(嬉しい顔)]](https://blog.ss-blog.jp/_images_e/140.gif)
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ベトナム戦争の悪化、ケネディ暗殺と混沌が続く中で、夢を追い一丸となる国の姿に古き良きアメリカの姿を見る。世紀のフェイク映像が失敗しても結果良ければ全て良しで笑い飛ばす国家の陰謀のなんと軽いこと。この大らかな懐の深さは現在の分断されたアメリカは持ち合わせていないものだ。そして60年代ファッションを見事に着こなしたスカーレットがスクリーンいっぱいに弾けて繁栄のアメリカを魅せる。元軍人役のチャニングがアメリカの良心を象徴する。主題は実はシビアなのだが、ラブロマンスとコメディ色を強めた構成により、とにかく観ていて全く疲れず楽しめる、最近の話題作では稀有の『軽さ』が際立つ娯楽の王道のような作品だった。灼熱の夜はこんな映画がピッタリ![[ぴかぴか(新しい)]](https://blog.ss-blog.jp/_images_e/150.gif)
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『メイ・ディセンバー ゆれる真実』 [上映中飲食禁止]
熟れたナタリー・ポートマンに![[揺れるハート]](https://blog.ss-blog.jp/_images_e/137.gif)
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20年前、36歳のグレイシー(ジュリアン・ムーア)と13歳のジョー(チャールズ・メルトン)は恋に落ち、大きなスキャンダルになる。そのことで服役したグレイシーは、ジョーとの間にできた長女を獄中で出産し、出所後結婚した二人はさらに双子の兄妹を授かる。ある日、二人を題材にした映画が製作されることが決まり、グレイシーを演じる女優のエリザベス(ナタリー・ポートマン)が、役作りのリサーチのために彼らが住む街へとやって来る。(シネマトゥデイより)
かつてないサスペンス系人間ドラマ
「メイ・ディセンバー事件」とは90年代に起きた実話である。ワシントン州の小学校教師の既婚女性が6年生の教え子と性的関係を持ち妊娠・出産するが、彼女は児童レイプ法で逮捕され懲役刑に服すことになる。出所後、二人は晴れて結婚するが、この経緯がマスコミで取り上げられ全米で物議を醸したという。歳の差を超えた純愛か異常者の淫行か、真偽は闇の中のまま時は流れた...
この事件の映画化にあたり、主役を務めるエリザベス(ナタリー・ポートマン)が役作りの為に、今は静かに暮らすグレイシー・ジョー夫妻を訪ねるところから物語の幕が開く。実話に若干の脚色を加えており、事件当時36歳の主婦と13歳の少年が、現在は2女1男の親になって下の双子の高校卒業が間近という設定だ。この過去を乗り越え幸福そうにに見える家庭に異質な女優エリザベスが絡まり、過去を紐解くサスペンスさながらの展開を見せていく。
グレイシー役のジュルアン・ムーアはまさに貫禄の一語。どんな局面でもエリザベスに素顔を見せない胆力と時にガラスのように簡単に壊れる一面を併せ持つ掴みどころのない女性を自然に魅せる深い演技に圧倒される。コントロール不可の妻を優しく支える歳の離れた夫役のチャールズ・メルトンがハマり役で、グレイシー・エリザベスという強烈な個性の緩衝材的存在になった。そしてナタリー・ポートマンだ。30年前の「レオン」での可憐な幼虫が「ブラック・スワン」で孵化し美しい羽を持ち、神の子ソーの恋人役では暫く羽を休めていたが、本作では人を惑わす煌めく蝶となって華麗に舞うのだ。幼児体型と長らく揶揄されたが、スリムな肢体にはほんのりと油が乗り、身体から発するフェロモンは芳醇なワインのようだ。容姿・演技共に最強糖度に達した彼女へのドキドキが抑えられない![[揺れるハート]](https://blog.ss-blog.jp/_images_e/137.gif)
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今作でついに彼女は、女優が女優を演じるラビリンスを見事に克服してしまうのだ![[むかっ(怒り)]](https://blog.ss-blog.jp/_images_e/152.gif)
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事件当時の関係者から刑事ばりに聞き込みを続け多くの情報を得たエリザベスは、グレイシーと対峙し何度も本音を聞き出そうとするが、逆に彼女の闇の世界に引き込まれそうになる。心理戦ともいうべきヒリヒリした展開は並みのサスペンス以上にスリリングだ。グレイシーがエリザベスに化粧を施し二人が同類であることを示唆させるシーンなどは、2大オスカー女優による鬼気迫る演技の応酬だった。
そしてエリザベスが起こした波紋は夫のジョーの心情も掻き乱し、初めて過去に向き合う契機を彼に与える。グレイシーに成り切ったエリザベスに20年前同様に「犯された」彼は、初めてグレイシーにありのままの自分をぶつけるのだが、果たして彼女は.....
役作りの為の取材旅行に来た有名女優が、夫婦の秘密に探偵並みに迫り、徐々に深みに嵌まっていく設定が極めてユニークだ。20年前の事件を純愛と公言し幸せな家庭を築いている夫婦の謎を一枚づつ剥いでいく過程はサスペンスそのものなのだが、実は夫婦が愛と信じていた時間に向き合っていく純粋なドラマとしても成り立っている。さらに、他者を演じることが生業の「俳優」という生き物の本質を暴く物語も盛り込んだ、複合的な構成になっている。一歩謝れば乱雑な作品になりがちだが、実話を下敷きにした上に、俳優陣の卓越した演技力により、リアルティー溢れる重厚な作品に見事に仕上がった。ナタリー・ポートマンとジュリアン・ムーアの磨き抜かれた演技から「人間の業の深さ」を垣間見れる秀作だ![[ぴかぴか(新しい)]](https://blog.ss-blog.jp/_images_e/150.gif)
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れいの【喫茶・六本木】 [江戸グルメ応援歌]
灼熱の週末にフラリと場違いな六本木に来てみた。六本木ヒルズから目と鼻の先の再開発から取り残されたエリアに美しい花に覆われた喫茶店が在る。ルリマツリの鮮やかな空色が一服の涼風を送ってくれた。
「喫煙可」マークにほくそ笑み、迷うこなく入店する。薄暗い雑然とした店内は昭和の香りに満ち溢れていた。初老風のマスターから「何処でもいいですよ、混んだらカウンターに移ってね」と言われ、窓側のテーブル席に座り、ブラジルコーヒーとチーズケーキを注文する。
オールドコーヒーと銘打った当店自慢の熟成豆のブラジルは香りが際立ち、とにかく温度が絶妙だった。熱過ぎず、ぬるからず、私好みの温かさに嬉しくなり、マスターの姿を目で追うと彼は突然、三脚を持って店を出て行ってしまった。そして、おもむろに店前の路上に三脚を立てて大型カメラをセットしてまた店に戻ってきた。
「マスター、あれ大型カメラですよね」と思わず声をかける。
「えぇ、この辺りも大分変わってきてるんで、定点観測のつもりでいつも撮っているんですよ」とマスター。
多少のカメラ談義になると、彼は店内の壁際から2冊の写真集を持ってきてくれた。
『れいの』は70年代から半世紀近くの歴史を持つ純喫茶だ。2年前に女主人が亡くなり、息子である彼が引き継いだという。しかも、その彼はプロの写真家なのだ。『星玄人(ホシハルト)』の写真集をめくりながら、「昭和のアラーキー」を彷彿させるスナップショットに感銘する。流れていたBGMも私好みの懐メロだった。「ピチカード・ファイブいいですねぇ〜」と言えば「懐かしいでしょう」と微笑んだマスターに、気負いなく生きる芸術家の姿を見た。また、お気に入りのサテンが出来てしまった。ちょっと通うのは遠いけど。
帰り際に近くの和菓子店に寄ってみる。以前に雑誌か何かで写真を見て、ずっと気になっている菓子があるのだ。
「麻布昇月堂」の『一枚流しあんみつ羊羹』だ。自称・あんこ大王としてはこの商品は逃せない。幸い、ラスト一個が残っておりなんとか購入できたのだ![[exclamation×2]](https://blog.ss-blog.jp/_images_e/160.gif)
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この宝石箱のようなビジュアルからして甘味党の心を奪うに充分だ。つぶしあんの羊かんにあんみつの具「寒天・求肥・栗」を入れた発想は、まさに進化する和菓子か
小豆の風味を残した甘過ぎない餡子と寒天の食感が楽しい上に栗の甘みが加わって絶品の仕上りだ。翌日には、孫達と共にあっという間に平らげてしまった。以前紹介した赤坂「とらや」同様に、伝統を守りつつ、創意工夫を続ける和菓子店を応援したい。次回は何を食おうかな〜
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![[るんるん]](https://blog.ss-blog.jp/_images_e/146.gif)
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10年ぶりの『ぴよりん』 [寫眞歳時記]
春から名古屋に月一度ペースで出張している。先日、東京に戻る新幹線の待ち時間に漸く念願の喫茶店に入ることが出来た。常に店内は大混雑、テイクアウトは長蛇の列のJR名古屋駅構内の有名店で入店は無理と何度も諦めていたが、この日はカウンター席が若干空いていたのだ。ほぼ10年ぶりにこの子に会えたぁ![[黒ハート]](https://blog.ss-blog.jp/_images_e/136.gif)
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お久しぶりだね〜ぴよりん
10年前の単身赴任時は、デビューしたての君は今ほどの人気はなくて何時でも気軽にかぶりつかせてくれた。申し訳ないが、全国区に登り詰めて高嶺の花のアイドルになっても爺いは容赦無く行かせてもらうよ![[exclamation&question]](https://blog.ss-blog.jp/_images_e/159.gif)
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