八丈島に初上陸 [寫眞歳時記]
GW後半に妻と八丈島に初上陸した。
夫婦での2泊以上の遠隔地への旅行はコロナ禍以降では初めてのことだ。ひと月前に離島特集のTV番組を見て「そういえば島には行ったこと無いよなぁ。八丈島って意外と便が良いんだな。」などと話していたら、翌日には「GW、八丈島予約しました」とカミさんからメールが...昔は旅行予約は旦那の専売特許だったが、昨年にネット予約の方法を教えてからの妻の成長は著しい。最近は「推しかつ」と称して仕事の間隙を縫って一人で札幌や大阪に知らぬ間に行ってしまう。今回もリーズナブルな旅程を押さえ、レンタカーまで予約する完璧ぶりだ。どうもいつかは世界一周を目論んでいるらしいのだが、その時に隣に小生が居るかは定かで無い
八丈島・・・羽田空港から55分の近くて遠い南国の島なのだ。当日は朝から強い風雨に見舞われ、現地の天候次第では羽田に引き返す場合もあるとアナウンスされる不安のスタートだったが、なんとか八丈島空港に昼過ぎに着陸。「品川ナンバー」(紛れなく東京都なのだ)のレンタカーに乗り換え、さてこの雨の中で何処に行くか悩む老夫婦
ひとまず空港近くの島カフェ「ジャージー・カフェ」で作戦会議だ。とろ〜り美味のジャージープリンを頬張りながら、雨天用の旅程を練る。それでも小生が「アレだけは見たい」と主張しビジターセンターに移動して...
小生と同年代の方ならご存知の『八丈島のキョン』なのだ。
嗚呼、「がきデカ」は偉大なり
そして向かうは「八丈民芸 山下」だ。店先の置かれた年代物の「ひょっこりひょうたん島」の乗り物が哀愁を誘う。三原山と八丈富士のふたつの山を持つ八丈島は、半世紀前のNHKの名作人形劇のモデルとも言われているのだ。
この店内でカミさんは「黄八丈」の織物体験をすると言うのだ
学生時代は工作赤点、老眼進行中の旦那は無謀な挑戦を諦め、妻を店に残して雨の中を付近をドライブである。島に来ても建物好きは変わらない。変わった建築を探しながら「大里の玉石垣」を見に行く。
1時間半ほど彷徨いて民芸店に戻ればカミさんの苦心の作がほぼ完成していた。20センチほどの布の切れ端を織るだけで素人ではこれほどの時間が掛かる。着物1反分にかける職人の技の凄さに改めて感服する。
我儘な女房に付き添ってくれた職人の方にお礼を言う頃にはすっかり夕刻になっていた。慌ててホテルにチェックインし、地元食材を使った夕食をたらふく戴いて爆睡の一日目が終わる。
翌日も降ったり止んだりの生憎の天候だ。ただ前日ほどの荒れ模様では無かった為に、森林探索をしながら温泉巡りをする行程にした。観光スポットに向かう途中に巨大な建物の廃墟に出会う。
日本3大廃墟の一つと言われる「八丈オリエンタルリゾート」だ。1968年に開業し、海外旅行が大衆化する以前に、八丈島観光の全盛期を支えたホテルだったと言われる。2006年に廃業したまま、取り壊しもされずに放置されている。私有地の為に一般人は進入禁止だが、内部を公開した映像がネットには多く上げられており、まさにゴージャスな廃墟なのである。「トリック劇場版2(2006年)」のロケ地に使用されており、後日視聴したが、往時が偲ばれると共に、人が住まない建物は僅か20年でも荒れ果てる事を痛感した。
車は細い山道をひた走る。対向車が来たら面倒なほどの隘路だが、こんな陽気に奥深い山道を走る観光客は奇特な夫婦だけだったようだ。
「ポットホール」・・・岩盤を流れる水路にできる穴のことだが、何万年もの時を重ねてできた甌穴群が形成されており、八丈島の天然記念物に指定されている。
八丈島は火山島であり、隠れた温泉のメッカである。島の南側を中心に7つの温泉施設が点在しており、全てが町営の日帰り温泉で地元の方々の憩いの場所にもなっている。まずはメディアにも取り上げられる絶景の「みはらしの湯」に行き、4つの温泉に入れる入湯証もゲットだ。
一つの施設が休業中だったが、個性溢れる3つの温泉を踏破し、夫婦ゆでだこ状態で「裏見ヶ滝」を探索する。
本州では見かけない巨大なシダの葉を見ると、改めて此処が南国であるのを再認識する。だが、行政区分としては紛れもなく「東京都」なのだ。
この滝のそばには秘湯「裏見ヶ滝温泉」があり、無料の混浴で水着着用が義務付けられている。女房の裸体を他人に見られたくはないが、水着で風呂に入ること自体に抵抗を感じる江戸っ子は潔くここはスルーだ
ホテルへの帰り際に「宇喜多秀家の墓」に行き手を合わせる。豊臣五大老の一人だったが、関ヶ原の敗戦で八丈島へ流罪となる。享年84歳と伝わるので50年に亘る長き隠遁生活だった。「きっと、この島が性に合ったんじゃない。奥さん(豪姫)と離れても結構楽しくやってたはずよ」と妻がさらりと言う。ん〜女の見立ては鋭い
こうして二日目も終了。最終日の天気予報はようやく「晴れマーク」だ。そして??回目の女房の誕生日を迎えることになるのだった。
こうして二日目も終了。最終日の天気予報はようやく「晴れマーク」だ。そして??回目の女房の誕生日を迎えることになるのだった。
久しぶりの快晴だ
悪天候でもそれなりの旅行の楽しみ方はあるのだが、好天に勝るものはない。女房へのお祝いのごとく、南国の神様が最後に青空のプレゼントを恵んでくださった。朝からご機嫌の妻は「今日こそ山に登るわよ〜」と早くも戦闘モードである。彼女の嗜好を当然知っている旦那は昨晩のうちから作戦を練っていた。なるべく楽なハイキングコースにするのだ。島内の二つの山である三原山と八丈富士を比較すると後者は1時間弱で登れる初心者向きコースだった。
「三原山は四十年前に噴火しているから万が一を考えて八丈富士にしよう。帰りの飛行機の時間にも余裕を持った方がいい」と誘導に成功する
八丈富士〜七合目の登山口まで車であっという間に到着だ。
ほぼ頂上まで整備された階段が続く登山道のようだ。ふしだらな生活で緩みきった爺いの肉体でも、ゆっくり歩けばなんとかなりそうだ...と思ったのが大きな間違いだった
15分も登った頃には、太腿が悲鳴を上げ始めると共に呼吸が荒くなる。座り込んだ小生の隣には汗ひとつ流さず余裕の妻の姿が...気を取り直し気合いで更に10分登るが、心拍数が限界に近づいているのを自覚する。「妻よ、俺の屍を乗り越えて先に行け」冗談混じりに話すと「じゃ、頂上でスケッチでもして待ってるわね」と颯爽と妻は消え去るのだった...
そこからは、3分登り5分休憩という恥も外聞も無い超スロー登山に切り替え、独り山頂を目指すのだった。実は40年前の学生時代は登山も趣味で、北アルプスなどを縦走していたのだが、よる年には勝てない。今の体力に見合っての行動が大事である。
そして.....約100分かけて登頂に成功
眼前には「お鉢」と呼ばれる火山口の絶景が飛び込んできた標高854メートルなので山頂まで緑深く、火口の中にはジャングルを思わせる深い森と池が見える。高山とは一味違う優雅な姿に感動する。付近を見渡すと、小高い丘に座った妻のスケッチがまもなく完成寸前だった。軽々と登頂したカミさんは、旦那が追いつくまでの1時間近くを自分なりに楽しんでいたのだ。
素晴らしい!
繰り返し拝見します。
世界一周記事、楽しみにしています。^^v
by よしあき・ギャラリー (2024-05-10 05:56)
近くて遠い八丈島!意外と知らないんですよね。
こーんなに素敵な島だったとは、教えてくださって嬉しいです。
黄八丈の帯、とてもとても素敵だと思います。
奥さまのお誕生日おめでとうございます。素敵な贈り物です。
by そら (2024-05-10 07:02)
ゴールデンウィークの使い方が一味違いますね、誕生日の祝い方も二味目、島流しも悪くない。
by hagemaizo (2024-05-10 07:41)
わろた!( ´艸`) おっと失礼! つむじかぜさんの名調子につい…!w
いつぞやの屋久島? あの時の女子グループと奥様が重なりました。
思い出深いご旅行となりましたね♪ 恋女房に乾杯♪ (完敗?w)
by Labyrinth (2024-05-10 11:13)
素敵な旅ですね
八丈島いってみたいです^^
by ぽこねん (2024-05-10 20:06)
奥様いい体験しましたね。素敵な誕生祝いになりましたよ。
by JUNKO (2024-05-10 20:09)
> よしあき・ギャラリー 様
世界一周まではしばらく日本国を堪能いたします^^
by つむじかぜ (2024-05-13 02:11)
> そら 様
離島巡りの楽しさを覚えてしまいました。
本土には無い魅力がいっぱいです!
by つむじかぜ (2024-05-13 02:19)
> hagemaizo 様
カミさんから島流しにされないようにしなければ^^;
by つむじかぜ (2024-05-13 02:21)
> Labyrinth 様
屋久島珍道中を覚えていただき感動です!!!
どうも女性を後ろから守りながら結局置いていかれる宿命のようです^^;
by つむじかぜ (2024-05-13 02:28)
> ぽこねん 様
訪問いただきありがとうございます。
素敵な東京の離島です、是非!
by つむじかぜ (2024-05-13 02:29)
> JUNKO 様
ブランド物より体験型のプレゼントを喜ぶカミさんなので
助かる分、こちらは疲労困憊します^^;
by つむじかぜ (2024-05-13 02:35)