SSブログ

『PERFECT DAYS』を辿る(下町編) [寫眞歳時記]

先日鑑賞した映画『PERFECT DAYS』に触発されて、そのロケ地を巡ってみる。作品の設定では、主人公が住んでいる街というのが、ほぼ小生の生活圏と一致しており、休日の昼下がり、カミさんと自転車に乗って近所を走り回ってみた。

役所広司が演じる主人公・平山はスカイツリーが間近に見える下町の木造アパートに暮らしている。多くのシーンで見覚えのある場所が現れ、ロケ地が我が下町の東京墨田区だと確信したのであった。

亀戸香取神社の門前に行くと、看板建築を平成期に再現した店舗が並ぶ『勝運商店街』に出会える。

20240127-DSCF0520-1.jpg

20240127-DSCF0498-1.jpg

20240127-DSCF0471-1.jpg

ここを抜けて北十間川に沿って歩くと...「天祖神社」に着く。早朝、此の神社の掃除の音で平山は目を覚ます。

20240127-DSCF0559-1.jpg

20240127-DSCF0531-1.jpg

神社の向かいには作品の通りに平山が暮らしたアパートが在った。毎朝、彼は軽自動車に乗って仕事場の渋谷の公衆トイレに向かうのだ。私が子供の頃は木造風呂無しアパートが標準だったが、今やこのタイプの部屋を探すのも困難な時代だ。それでも下町の裏通りを歩けば、運よくこんな建物に出会えるのだ。

20240127-DSCF0541-1.jpg

20240127-DSCF0544-1.jpg

20240127-DSCF0545-1.jpg

20240127-DSCF0553-1.jpg

十間橋通りから「キラキラ橘商店街」を抜ける。昔の賑わいがすっかり無くなって少々寂しい気分になる。

20240128-DSCF0561-1.jpg

20220731-DSCF3928-1.jpg

キラキラ橘の脇道に入ると、平山が仕事帰りに毎日浸かる銭湯が見つかる。創業100年を迎えた『電気湯」だ。電気風呂が無いのにこの屋号は、創業当時はガスではなく電気で湯を沸かしていたことから由来する。4代目主人は国連勤務経験のある20代の青年らしい。昭和の町の香りが、今、多くの若者の手により至る所で守られている。

20240128-DSCF0574-1.jpg

ここから一気に隅田川沿いに向かう。作品内でも平山は毎日、自転車を駆使して浅草と亀戸を往復していた。小生も負けてられないが、袋はぎが既に重い[ふらふら]

20240128-DSCF0588-1.jpg

20240128-DSCF0593-1.jpg

1985年に完成した『桜橋』は、大川(隅田川)に最後に架かった小さな歩行者専用の橋だ。同時に河川敷の遊歩道も整備され、後年の下町ブームに一役買ったエリアでもある。ドラマなどのロケ地によく使用され、今作でも平山とニコが楽しそうに自転車並走していた。我が家から徒歩5分の至近距離だ。橋を渡りきり台東区側に到着したら、目指すは銀座線浅草駅だ。それにしても橋の傾斜が爺いにはキツい。

20240128-DSCF0604-1.jpg

以前のブログでこの地下街にある立ち食い蕎麦屋を投稿したが、まさに「THE昭和」の時が止まった空間なのである。

20240128-DSCF0605-1.jpg

20240128-DSCF0612-1.jpg

20240128-DSCF0606-1.jpg

雨漏りで廊下はびしょ濡れ、換気が悪いため焼き鳥の煙が充満している。格安床屋、謎の治療院、金券ショップ、中古DVD販売、占い屋etc.の合間に洒落た居酒屋が昼から営業するカオスandレトロな場所として最近は若者に人気らしいが、私にとっては懐かしさが募る秘密のエリアなのだ。平山が一日の最後に『福ちゃん』に訪れ、酎ハイ1杯を飲み干して家路に着く。

20240128-DSCF0611-1.jpg

やはり映画効果なのだろう。カミさんと焼きそばでも食べるつもりだったが、この店だけは大繁盛の満席の為に諦める。

ヴィム・ベンダース監督がこのような下町の穴場にまで詳しいとは思えず、監督の持つ古きニッポンのイメージに合わせて日本側製作陣が東京中から探し出したに違いない。本作の情景描写の素晴らしさは、地道かつ入念なスタッフの下調べも大きく寄与しているのだ。個人的には近所が多く登場し、単純に嬉しかったのだが...

近場のサイクリングでも意外と疲れる。帰り道は長〜い言問橋を利用した。緩い傾斜を登りきれず悪戦苦闘する亭主の脇を、カミさんが颯爽と追い抜いていった。持久力では完全に勝負ありの夫婦関係を素直に受け入れる爺いなのでした。次回は「渋谷区公衆トイレ巡り」を計画中。今度はLUUPを使おうかな[あせあせ(飛び散る汗)]

ヴェルヴェット・アンダーグラウンド『Pale Blue Eye』


ヴェルヴェット・アンダーグラウンドIII

ヴェルヴェット・アンダーグラウンドIII

  • アーティスト: ヴェルヴェット・アンダーグラウンド
  • 出版社/メーカー: USMジャパン
  • 発売日: 2010/11/24
  • メディア: CD

nice!(34)  コメント(10) 
共通テーマ:地域

nice! 34

コメント 10

Labyrinth

流石! つむじかぜさん! 素晴らしいの一言です♪ (^_-)-☆
“渋谷編” 楽しみにお待ちしておりまする。
by Labyrinth (2024-02-03 10:13) 

gillman

この映画は是非観たいです。
「電気湯」なんだか痺れそうな~。椅子でなくてよかった。
by gillman (2024-02-03 10:25) 

JUNKO

映画のワンシーンがたくさん並んでいますね。味わいのあるところです。
by JUNKO (2024-02-03 11:43) 

katakiyo

昭和の懐かしい風景ですね~
by katakiyo (2024-02-03 16:30) 

つむじかぜ

> Labyrinth 様
現在、渋谷に潜入中です^^;
by つむじかぜ (2024-02-06 01:11) 

つむじかぜ

> gillman 様
痺れる風呂はビビりますね^^
by つむじかぜ (2024-02-06 01:12) 

つむじかぜ

> JUNKO 様
情景の切り取り方が見事な映画でもあります!
by つむじかぜ (2024-02-06 01:13) 

つむじかぜ

> katakiyo 様
こんな風景を守るのが大変な時代になってきました!
by つむじかぜ (2024-02-06 01:14) 

hagemaizo

今日の記事、眼と心と脳が豊かになったと私の右脳が言っております。
そのうえヴィム・ベンダースと役所広司、手持ちで緩やかに揺れる画面、日本の心ってこんな感じだよなぁと思ったりもして。
コメントをいただきありがとうございました。
by hagemaizo (2024-02-06 07:49) 

つむじかぜ

> hagemaizo 様
この映画は、hage様の写真に通じるモノを感じますなぁ^^
by つむじかぜ (2024-02-08 01:38)