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飯田屋【川魚料理・浅草】 [江戸グルメ応援歌]

寒い[ふらふら]

寒の戻りで関東地方は底冷えの三連休となった。こんな時に限って、カミさんは仕事の研修で二泊三日の大阪出張だ。人肌恋しい年頃では無いが、一人飯が続くのは楽しくない。雨続きで遠出もせずにコンビニ弁当の連チャンは避けたいし、息子夫婦の家に押しかけるのも何だか癪だ。温かいものが食べたい。鍋だ、一人鍋だぁ、そう、どじょう鍋を食おう[exclamation×2]

雨が止んだのをいいことに向かうのは、浅草『飯田屋』だ。

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浅草で「どじょう」と云えば老舗の『駒形どぜう』が有名だが、小生は地元在住の義弟に教えられたこの店がお気に入りだ。「駒形どぜう」も素敵な店だが、飯田屋の方が庶民的かつ値段も良心的で居心地が非常に良いのである。

暖簾をくぐってすぐに1階の座敷に案内される。注文するのは当然、「どじょう鍋定食」だ。今回は「ほねぬき」にして「ぬた」も頼む。

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「どじょう」独特の臭みや骨っぽさが苦手な方は、こちらがおすすめだ。どじょうを開いて骨を外した「ほねぬき」なら、女性や子供も気楽に江戸の味を楽しめる。裏に返して煮立ったら大量のネギをぶち込む。

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お好みで山椒か七味を振ってご飯と共にかき込めば、この上ない幸福が訪れる。秘伝の割下をたっぷり吸ったどじょうの風味とネギの食感がメシに合いすぎる。汁物はどじょう、卵、豆腐から選べるが、本日選んだ玉子汁も優しい味だ。箸休めの「ぬた」は絶品だ。

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年甲斐も無く調子に乗って、鍋をもう1枚追加とご飯をおかわりだ。ほぼ1年ぶりの懐かしの味に食欲倍増のようである。今度の鍋は「ほねぬき」ではなく、「まる」と呼ばれる「丸ごとそのまま」だ。

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どじょう本来の苦味と骨っぽさが強調されて、これもまた旨い。見た目がそのまんまなので、通向きではあるが、これが江戸前の王道なのだ。仲居さんや下足番の方の媚びないサービスが心地よい。人によって無愛想と受け取るかもしれないが。

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一人鍋を侘しくも大いに堪能した夜でした[あせあせ(飛び散る汗)]




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『Knower』にベタ惚れ [偏愛カタルシス]

久しぶりに音楽ネタです[るんるん]

「AIなんぞに俺の好みを押しつられてたまるか[むかっ(怒り)]」と頑なに音楽系のサブスクは一切契約していない。ゆえに最新の音楽情報に次第と遠ざかり、小生のスマホの中身は「懐かしのオールド・ロック」特集のようなCDからコピーした昭和の音楽データで溢れている。今やリアルなCDショップも絶滅状態となり、ジャケ買いや「店長おすすめ」POPに惹かれて、意外な音楽との出会いもめっきり減ってしまった。


先日、NHKの音楽番組「おげんさんのサブスク堂」の再放送を観ていた。星野源のジャンルを超えた膨大な音楽知識には毎回驚かされるのだが、孤独のグルメの松重豊が彼に負けない音楽マニアと知り、この同年代の大飯喰いに親近感を持った。番組最後に松重推薦のアーチストが紹介され短いMVが流れた。小生の好きなロック系とはかけ離れた音楽だったが、妙に馴染んでいる自分に気づく。LAで活動する稀代のパフォーマーであり、天才的なマルチ・プレイヤーのルイス・コール(Louis Cole)だった。


彼を追ってYouTubeを徘徊していたら、ルイスと女性ヴォーカリストのジェネヴィーヴ・アルターディ(Genevieve Artadi)のデュオグループ「ノウアー(Knower)」の演奏にぶちああたり一発で引き込まれてしまった。





「なんて気持ちいいドラムを叩くんだ[exclamation×2]

本来はあまり聴かないエレクトロ・ファンク系なのだが、この胸躍るビートと驚愕の演奏力の高さにゾッコンだ。ジャズの即興性とロックの熱さも内包した初めて触れるジャンルに時代遅れの爺さんのハートも痺れまくりなのだ[ぴかぴか(新しい)]


13年前に音楽配信でデビューしたルイス・コールの幅広い芸術性は今や音楽界に新風を送り込んでいるようだが、小生は一人のドラマーとして彼の独特のリズム感と緻密なドラミングがお気に入りだ。さらに、ジュネヴィーヴのか細いのにパワー漲るヴォーカルは、私のストライクゾーンど真ん中なのだ。





ルイスの自宅で演奏された一連の動画はユニークに溢れており、サポートメンバーの卓越した演奏力も堪能できる。ベースのサム・ウィルクスとは一体何者じゃ、恐ろしいテクニック[exclamation×2]演奏に同化したような主張し過ぎないジュネヴィーヴの歌声だが、バラード調の楽曲では彼女のポテンシャルが十二分に発揮される[揺れるハート]





自宅にビックバンドやコーラス隊まで押し込んでの演奏もニヤリだが、何気にハンディカメラの動画編集にもセンスの良さが際立つ。いやはや、知るのが遅過ぎた。


KNOWER FOREVER [解説書・歌詞対訳付 / ボーナストラック追加収録 / 国内盤CD] (BRC748)

KNOWER FOREVER [解説書・歌詞対訳付 / ボーナストラック追加収録 / 国内盤CD] (BRC748)

  • 出版社/メーカー: BEAT RECORDS
  • 発売日: 2023/12/08
  • メディア: CD



最近のヘビロテアルバムなのだが、なんと来月に彼らが来日するのを知る[どんっ(衝撃)]残念ながら全ての公演は既にSOLDOUTだった[もうやだ~(悲しい顔)]やっぱり、情報には敏感にならねばいかんな。AIさんの力を借りようかしら...


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公衆トイレから思い出の聖地へ [寫眞歳時記]

やり残しのケリをつけに京王線幡ヶ谷まで[パンチ]


(17)幡ヶ谷公衆トイレ/マイルス・ペニントン 東京大学DLXデザインラボ
この奥行き・ダウンライト・男女共用〜新感覚だ[exclamation]
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なんとか取りこぼしたワンピースを埋めて「THE TOKYO TOILET」をコンプリートしたが、達成感に浸ってばかりもいられない。公衆トイレ一つの為に此処まで来てとんぼ返りは勿体無い。実は前夜から作戦は練っていたのだ。幡ヶ谷駅の隣の代田橋駅には以前から訪れたかった場所があった。

杉並区和泉の甲州街道から入った脇道に一見異様な2棟のヴィンテージマンションが存在する。あの『ドラード和世陀』で度肝を抜かれた梵寿綱の作品である。ネット上でも多くの写真が公開されておりイメージは出来ていたが、いざ実物を目の当たりにすると製作者の熱き想いを改めて感じざるを得ない。そしてこの奇妙な建物を今も生活の場として暮らす人々の息吹まで窺い知れて嬉しい気分になる。

マインド和亜(1992年竣工)

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ある意味、カオス[がく~(落胆した顔)]
異彩な建物の一階に生活感溢れるコンビニがテナントとして営業中だ。ご丁寧に店頭で野菜の即売までやっている。裏手に回ればベランダに洗濯物が散見される。そして装飾に目を凝らせば、梵寿綱独自のワンダーランドな世界観が散りばめられている。

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エントランスホールは住民以外立入禁止で入口には錠がかけられており、残念ながら一部分しか見ることは出来ない。それでも雰囲気は十分だ。

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ラポルタ和泉(1990年竣工)

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正面の女性と階上右手のペガサスの巨大オブジェに圧倒される。聖女は身体をくねらせ静かに目を伏せ、純白の天馬は今にも冬の青空に飛び立たんとする。マインド和亜よりひと回り小さいマンションだが、狭いエントランスの手前が吹き抜けになっており、見事な装飾が施されている。

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なんと正面の女体の半身がエントランス側の壁から飛び出ている構造なのだ。この杉並の2棟は梵寿綱の晩年期の作品だが、圧倒的なパワーを今だに四方に放ちながら、此処に住む人々の生活と同化しているのだ。自分が単身赴任の立場だったら住んでみたいなぁ[ぴかぴか(新しい)]因みにこのマンションの向かいにも素敵なレトロビルがある。昔は生鮮食品を扱う市場だったようだが、現在はリノベされた店舗が入居している。

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化粧ガラス越しの猫ちゃんに別れを告げ、最終目的地に向かう。我が学び舎がある隣の「明大前駅」に行く。大学の教養課程の頃だから43年ぶりだ。どうしても行ってみたい場所があった。当時通っていたJAZZ喫茶が5年前にママの逝去の為に廃業したが、有志の手によって最近復活したという情報を得たからだ。大学3年から駿河台に校舎が変わって以来、プライベートでは新宿以西に足を運ばなくなり、いつかは顔を出したいと思いながらあまりに年月が流れ過ぎた...

駅前自体が整理された上に、当時、校舎に向かう途中の商店街も様変わりだった。僅かに見覚えがあったのは煎餅屋さんと電気屋さんくらいなもので、入り浸りだった雀荘やビリヤード店は今や一件も存在しない。そんな中、この店は昔のままそこに在った[ぴかぴか(新しい)]

◎JAZZ喫茶「マイルス」

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1960年創業のJAZZ喫茶。ジョン・コルトレーンも来店した伝説の店だが、そんなことを知らない1980年当時のつむじ風青年は、講義の合間や麻雀仲間が集まるまでの時間調整に週2.3度は顔を出していた。右の狭い階段を登り、雑然した薄暗い店内に入れば、JAZZビートの大音量と膨大なレコードとむせかえる紫煙が迎えてくれる。女性ひとりで昼夜切り盛りしている店だったが、「音楽」を聴く為に会話は厳禁に近い。ゆえにママとゆっくり話した経験は無いのだが、通い初めの頃「この紙に書いてリクエストしていいのよ」と優しくルールを教えられ、Jazz初心者の私はエリック・ドルフィーばかりお願いしていた。「このアルバムも好きなんじゃない」とオリバー・ネルソンの「ブルースの真実」を教えてもらったっけ。

本山ママは創業以来、女手一つでマイルスを59年間守っていたのだ。最期に一度会いたかったな。「いつか行こう」と思った時は「今、行け!」なのだ。そんな境地に達したのは還暦を過ぎてからだが、もっと早くにこの店を思い出せなかったことが悔やまれる。とっくに廃業しているものと勝手に決めつけていたからだ。

現在の「マイルス」は昼営業は無くなり、Jazz喫茶というよりJazzBarになってしまっていた。当然、この日はまだ開店していなかった。それこそ「今、行っても」ママはもう居ないが、彼女が残した大量のレコードと音響装置はそのままのようなので、近いうちに女房を誘って来るつもりだ。俺の定位置だったカウンター左端の席に座ろう。

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井の頭線のホームからは店の裏側が見える。赤錆だらけのトタン板に書かれた店名が愛おしく感じた...








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渋谷区公衆トイレ巡り [寫眞歳時記]

映画『Perfct Days』のロケ地巡り続行中[exclamation&question]

2018年、東京の公共トイレを再デザインするプロジェクトが日本財団と渋谷区の連携により始まった。『THE TOKYO TOLET』は、世界で活躍する16人のクリエイターが参画し、既存の公衆便所のイメージを払拭すると共にメンテナンスにも力を入れ、公衆衛生の問題点に一石を投じた。確かに、冷え性のカミさんは運転中に用を足したくなっても、公園の公衆トイレは避けてコンビニかガソリンスタンドに急停車する。「立ち寄りたくない場所」から「一度は入ってみたい場所」へ、デザインの力と日本のおもてなしの精神により、東京の公共トイレは変貌中なのだ。ヴィム・ベンターズ監督は作品の中で、そんな最新の東京の姿も切り取っている。いくつものトイレを周り、ひょっこり役所広司が出てきそうな錯覚に何度も陥ってしまった。

今プロジェクトでは、16人の建築家・デザイナーの手により渋谷区内の17ヶ所のトイレがリニューアルされた。この全てを一日で回ろうというのだから相当無理がある。下町育ちの小生には縁遠いお洒落な渋谷エリアは土地勘も無いのだ。それでもチャレンジするのがカメラ爺いの習性、そういえば昔から七福神巡りとかスタンプラリーは絶対に完遂しないと気が済まなかった。まず、渋谷エリアの南から北上する作戦でGO[パンチ]

今回は一挙に掲載につき長尺です[ダッシュ(走り出すさま)]

◎JR恵比寿駅からスタートだ。

⑴恵比寿駅西口公衆トイレ/佐藤可士和・・・駅の顔、この清潔感大事[exclamation]
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⑵恵比寿公園トイレ/片山 正通 ワンダーウォール・・・緑とコンクリの共生
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⑶東三丁目公衆トイレ/田村奈穂・・・鮮やかな朱色[ぴかぴか(新しい)]
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王林ちゃんが見つめる普通のトイレ
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⑷恵比寿東公園トイレ/槇 文彦・・・タコに対抗した「イカトイレ」[exclamation&question]
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4つ目のトイレで早くもガス切れ[あせあせ(飛び散る汗)]と、「イカトイレ」公園の向かいのビルに10人程の行列が見える。まだ11時半前というのにランチ目的の人々らしい。中を覗くと20人のキャパがありそうな「うどん屋」さんだ。本来行列嫌いの小生だが、美味そうな予感と一気に入店できそうな確信を持って並んでみる...すぐに店員さんが行列の客にオーダーを取り始め、10分経たずにご入店だ[わーい(嬉しい顔)]

うどん山長
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絶品[exclamation×2]これは正統派の難波の饂だ。流行りの讃岐や稲庭のコシとは別格の優しい口当たり、美しい出汁。単身赴任時代の大阪を思い出す。前菜も天ぷらも極上の仕上がりだ。ガソリン注入につき再起動だ。神宮に向かって明治通りを走ると...おぉ、巨匠作「あまやどり」[exclamation×2]

⑸神宮通公園トイレ/安藤忠雄
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⑹神宮前公衆トイレ/NIGO[レジスタードトレードマーク]・・・この色合い好きだな
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代々木公園の向かいに小さな公園が並んで在る。その園内に坂茂の手による色違いの2種類のトイレが佇んでいる。スケルトン構造で透けて見えるが、中から施錠すると色が濃くなり気兼ねなく用を足せる不思議な仕組みになっている。公園自体も手作り感満載の緑と土を活かした子供達の自由広場だ。

⑺代々木深町小公園トイレ/坂茂
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⑻はるのおがわコミュニティパークトイレ/坂 茂
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⑼代々木八幡公衆トイレ/伊東豊雄・・・レジェンドによる3本の「きのこ」
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このトイレは「代々木八幡宮」の参道の脇に在る。代々木八幡駅は存じていたが、神社へ参拝した事が無い。せっかくなのでお参りして行く。

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帰りの参道脇に小さな立て看板「甘味と健康茶」を発見[目]
これ以上は寄り道できる余裕が無いのだが、嗚呼哀しい性、一軒家をリノベしたような喫茶店に引き込まれる。気さくなマダムのダイニングキッチンに招待されたような気分で、穏やかな時間を過ごさせてもらった。

だんで茶屋
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大幅な時間ロスだが、こういう出逢いと過ごし方は大事にしたい。但し、仕事と同じで取り返すためには自分を少しだけ追い込まねば。更にトイレダッシュ[exclamation&question]

⑽西原一丁目公園トイレ/坂倉竹之助・・・自然光に癒される[ぴかぴか(新しい)]
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(11)七号通り公園トイレ/佐藤カズー・・・突如出現する謎の球体[がく~(落胆した顔)]
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(12)笹塚緑道公衆トイレ/小林純子・・・メルヘン[黒ハート]
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(13)西参道公衆トイレ/藤本壮介・・・麗しい曲線が好きだなぁ
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(14)裏参道公衆トイレ/マーク・ニューソン・・・高架下を優しく照らす
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(15)広尾東公園トイレ/後 智仁・・・裏に照明パネルが[exclamation]
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そして昨夏、松濤美術館へ行った時に立ち寄った公園のトイレをつけ加えさせて頂いて...

(16)鍋島松濤公園トイレ/隈 研吾
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これにてコンプリート[exclamation×2]と帰宅したが...1ヵ所足りない事に気づく[がく~(落胆した顔)]完璧なプランのはずだったが、何処かで最後のピースを見逃したらしい。ここまで引っ張って申し訳ございません。コンプリート報告は改めて後日にさせて頂きます[もうやだ~(悲しい顔)]

それにしても、デザインの持つあらゆる可能性に堪能した一日だった。用を足すだけの誰も見向きもしなかった公衆便所が、気持ちが洗われるスポットに変貌する様を体感した。事実、多くの通行人、タクシー運転手、公園で遊ぶ子供達が入れ替わり利用しており、「公共」の意味を改めて知る。あらゆる地域の行政が努力をしているはずだが、東京の最先端の都市を自負する渋谷区ならではのプロジェクトに握手を贈りたい[ぴかぴか(新しい)]

さて、貴方はどのトイレに入りますか?




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『哀れなるものたち』 [上映中飲食禁止]


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若い女性ベラ(エマ・ストーン)は自ら命を絶つが、天才外科医ゴッドウィン・バクスター(ウィレム・デフォー)によって胎児の脳を移植され、奇跡的に生き返る。「世界を自分の目で見たい」という思いに突き動かされた彼女は、放蕩(ほうとう)者の弁護士ダンカン(マーク・ラファロ)に誘われて大陸横断の旅に出る。大人の体でありながら、新生児の目線で物事を見つめるベラは、貪欲に多くのことを学んでいく中で平等や自由を知り、時代の偏見から解放され成長していく。(シネマトゥデイより)

当然の18禁であり観る人を選ぶ作品だが、個人的に胸躍る傑作だった[かわいい]
エマ・ストーンの規格外の艶技に目のやり場を失くし、緻密で鮮やかな美術・装飾に目を奪われがちだが、一人の女性の成長をダイナミックに描いた脚本・演出が独特の世界観を見事に表現しており、それが比類なき完成度の高さなのだ。瞬く間に作品に取り込まれたのは言うまでも無い。

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19世紀のロンドン。身重のまま投身自殺を図った女性の遺体を手に入れた天才外科医ゴッドウィン・バクスターは、禁断の手術を施して彼女を蘇生させるのだった。胎児の脳を移植され外見は成熟した美女、精神は新生児並みの成人女性にベラ・バクスターと名づけ、博士は研究材料かつ愛娘として自邸で育て、その成長過程を医学生のマックスに詳細に記録させていた。

衝撃の冒頭だ[がく~(落胆した顔)]
つぎはぎだらけの顔を持つ外科医と機械仕掛けのような動きをする美女が実験室付きの屋敷に暮らしている。ゴッドウィン自身も偏執狂的な父の実験対象として身体中を切り刻まれていたのだ。そして父の異常性を引き継いだ彼もまた自らの手でベラという「フランケンシュタインともいうべき人造人間を生み出したのだ。その過程が描かれる序盤はモノクロ映像が続き、挿入される音楽はチューニングがずれたような弦楽器の軋みだ。閉ざされた世界で錯乱した精神のままのベラを婉曲的に表現する。ゴッドウィン博士を演じるウィレム・デフォーの存在感に圧倒され、野生動物のように粗野に振る舞うエマ・ストーンの演技力に脱帽する。

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中盤からベラのアドベンチャーが始まる。急速に成長を続け自我が芽生え始めたベラは外の世界に興味を持ち、遊び人の弁護士ダンカンに誘惑されてポルトガルのリスボンに駆け落ちしてしまう。画面はフルカラーとなり、ミニチュア風の作り物感満載の背景がベラが見る世界の変貌を物語る。知性より先に性の悦びを得るベラ。あの清楚なスパイダーマンの恋人が...ラ・ラ・ランドのファショナブルな美女が...淫らに肢体をくねらせる[揺れるハート]本作の制作にも関わったエマ・ストーンの本気度を激しいセックスシーンに感じざるを得ない。オスカー獲得には満足しない女優は更に表現者としての高みに昇って行くのだ[exclamation×2]

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ベラの知識欲は留まることを知らず、初めて出会うもの全てを吸収して行く。音楽、踊り、文学、そして格差社会を目の当たりにした彼女は、教養と審美眼を身につけたエレガントな貴婦人へと変貌していく。この件は「マイ・フェア・レディ」に多少通じる。当初は遊び半分だったダンカンだったが、魅力が増す彼女の虜になり、結局は無一文に堕ちぶれ棄てられるのだ。そして最後に辿り着くパリで、ベラは社会通念など一切関知せず、娼婦として楽しく生活を送るのだった。

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バクスター博士が重病との報を受け、急遽ロンドンに戻るベラ。倒錯した天才外科医を産みの親として受け入れ、博士の残り少ない日々を穏やかに共にする。彼女に恋焦がれていた助手のマックスからの求婚を受け入れ、博士の立ち会いのささやかな結婚式の最中に突如、闖入者が現れる。ベラをビクトリアと呼ぶ男はアルフィー・ブレシントン(クリストファー・アボット)と名乗る貴族で、行方不明になっていた妻を長年探して求めていたというのだ。当然、「生前」の記憶が無いベラだが、アルフィーの求めに応じて彼の豪邸に「帰宅」する決断をする。籠の鳥のような生活を妻に強要する元夫の異常な性格を垣間見たベラは、ビクトリアの自殺の原因を憶測せざるを得なかった。ついに彼女は父の元に帰る決断をするが、その前に狂った夫が立ち塞がる...

胎児の頭脳から驚異的な進化を遂げる女性の成長過程を劇的かつアーチスティックに描いた、他に類を見ない刺激的な作品だ。SF的な緻密で有り得ないような背景とエマ・ストーンが纏う奇抜な衣装に心をざわつかせる音楽が溶け込む。落ちたらエログロかパロディに嵌る塀の上をギリギリ歩くような快感に酔いしれる。ヨルゴス・ランティモス監督が操る絶妙な構成バランスと巧みな演出は観客を異世界に呼び込む魔法なのだ。

無垢な魂は、多くの個性的な人間と出逢い、反社会的な環境にも身を委ねながら、「生きる」ことを再学習して行く。一度は自ら命を絶った自分の過去を重ねながら、こんなに素晴らしくも理不尽な世界で「自由」を掴み切る力を身につける主人公に愛しさを覚えると共に羨ましく思えてしまう。それにしてもエマ・ストーンは凄かった。こんな俳優は今の日本には存在しない[exclamation×2]原題『Poor Things』の意味を紐解きながら、さぁ楽しい明日を夢見てとりあえず寝よう[眠い(睡眠)]

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『PERFECT DAYS』を辿る(下町編) [寫眞歳時記]

先日鑑賞した映画『PERFECT DAYS』に触発されて、そのロケ地を巡ってみる。作品の設定では、主人公が住んでいる街というのが、ほぼ小生の生活圏と一致しており、休日の昼下がり、カミさんと自転車に乗って近所を走り回ってみた。

役所広司が演じる主人公・平山はスカイツリーが間近に見える下町の木造アパートに暮らしている。多くのシーンで見覚えのある場所が現れ、ロケ地が我が下町の東京墨田区だと確信したのであった。

亀戸香取神社の門前に行くと、看板建築を平成期に再現した店舗が並ぶ『勝運商店街』に出会える。

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ここを抜けて北十間川に沿って歩くと...「天祖神社」に着く。早朝、此の神社の掃除の音で平山は目を覚ます。

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神社の向かいには作品の通りに平山が暮らしたアパートが在った。毎朝、彼は軽自動車に乗って仕事場の渋谷の公衆トイレに向かうのだ。私が子供の頃は木造風呂無しアパートが標準だったが、今やこのタイプの部屋を探すのも困難な時代だ。それでも下町の裏通りを歩けば、運よくこんな建物に出会えるのだ。

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十間橋通りから「キラキラ橘商店街」を抜ける。昔の賑わいがすっかり無くなって少々寂しい気分になる。

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キラキラ橘の脇道に入ると、平山が仕事帰りに毎日浸かる銭湯が見つかる。創業100年を迎えた『電気湯」だ。電気風呂が無いのにこの屋号は、創業当時はガスではなく電気で湯を沸かしていたことから由来する。4代目主人は国連勤務経験のある20代の青年らしい。昭和の町の香りが、今、多くの若者の手により至る所で守られている。

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ここから一気に隅田川沿いに向かう。作品内でも平山は毎日、自転車を駆使して浅草と亀戸を往復していた。小生も負けてられないが、袋はぎが既に重い[ふらふら]

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1985年に完成した『桜橋』は、大川(隅田川)に最後に架かった小さな歩行者専用の橋だ。同時に河川敷の遊歩道も整備され、後年の下町ブームに一役買ったエリアでもある。ドラマなどのロケ地によく使用され、今作でも平山とニコが楽しそうに自転車並走していた。我が家から徒歩5分の至近距離だ。橋を渡りきり台東区側に到着したら、目指すは銀座線浅草駅だ。それにしても橋の傾斜が爺いにはキツい。

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以前のブログでこの地下街にある立ち食い蕎麦屋を投稿したが、まさに「THE昭和」の時が止まった空間なのである。

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雨漏りで廊下はびしょ濡れ、換気が悪いため焼き鳥の煙が充満している。格安床屋、謎の治療院、金券ショップ、中古DVD販売、占い屋etc.の合間に洒落た居酒屋が昼から営業するカオスandレトロな場所として最近は若者に人気らしいが、私にとっては懐かしさが募る秘密のエリアなのだ。平山が一日の最後に『福ちゃん』に訪れ、酎ハイ1杯を飲み干して家路に着く。

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やはり映画効果なのだろう。カミさんと焼きそばでも食べるつもりだったが、この店だけは大繁盛の満席の為に諦める。

ヴィム・ベンダース監督がこのような下町の穴場にまで詳しいとは思えず、監督の持つ古きニッポンのイメージに合わせて日本側製作陣が東京中から探し出したに違いない。本作の情景描写の素晴らしさは、地道かつ入念なスタッフの下調べも大きく寄与しているのだ。個人的には近所が多く登場し、単純に嬉しかったのだが...

近場のサイクリングでも意外と疲れる。帰り道は長〜い言問橋を利用した。緩い傾斜を登りきれず悪戦苦闘する亭主の脇を、カミさんが颯爽と追い抜いていった。持久力では完全に勝負ありの夫婦関係を素直に受け入れる爺いなのでした。次回は「渋谷区公衆トイレ巡り」を計画中。今度はLUUPを使おうかな[あせあせ(飛び散る汗)]

ヴェルヴェット・アンダーグラウンド『Pale Blue Eye』


ヴェルヴェット・アンダーグラウンドIII

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  • 出版社/メーカー: USMジャパン
  • 発売日: 2010/11/24
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