『立ち食いソバ』を愉しむ【浅草&人形町】 [江戸グルメ応援歌]
『柳家喬太郎』がメチャクチャ面白い
小生が惚れ込む柳家さん喬師匠の一番弟子である。古典落語、特に人情噺に精通した師匠の元で研鑽を積みながら、新作落語にも新境地を切り開いた、今、ノリに乗っている噺家だ。Netで見たこのネタが大爆笑だ古典落語では有名な「時そば」なのだが、本題に入る前のマクラが抱腹絶倒、この話術は天才的だ(長くて映像も不鮮明だが、前半だけでも聞いていただきたい。)
マクラ「コロッケソバ」→古典『時そば』
...という事で「立ち食いソバ」のご紹介なのである。
日本で最初の地下鉄と云われる銀座線の始発である浅草駅。松屋百貨店・東武鉄道に向かう改札口を出ると、昭和レトロ感溢れる絶滅危惧種とも思える地下食堂街にぶち当たる
その地下商店街入口にある『文殊』
『文殊』・・・此処の蕎麦が、立ち食いとは思えない旨さなのだ
下町を中心に展開しているチェーン店ではあるのだが、「ゆで太郎」「名代富士そば」などの大規模チェーンとは違い、調理マニュアルが厳格でないのか、自由度、ある意味いい加減な為、素材は同じでも店舗によって微妙に味が違う。調理人もほぼ固定されており、ある意味、人の温もりを感じる蕎麦を出すのである。この店は、10年以上に亘り、無口な爺ちゃんコンビが切り盛りしていたが、最近、若い男性独りに変わったものの、味はしっかりと伝授されている。細くコシのある自家製面を注文を受けてから茹で上げる。鰹が効いた少々辛めの出汁との相性は抜群で、喉越し最強の江戸っ子仕様である。蕎麦の香りを味わいたかったら、専門店で十割そばでも上品に啜ってろってぇんだい この江戸前蕎麦に、ミスマッチなコロッケを乗っけ、カレーライスと共に食うのが、つむじ風流立ち食い蕎麦の王道なのである
かたや小生の勤務先から徒歩3分の『六文そば』人形町店である。
昭和レトロな雑居ビルの1Fに鎮座ましますこの店もチェーン店である。他のチェーン店で食した事が無いが、何時行っても年老いた婆さんと息子らしき男性が調理しているので、労基法無視のFC(フランチャイズ方式)の家族労務の自営店と思われる。まず、魅力は価格である。かけそば1杯200円、各種天ぷら50~100円は、中央区人形町の角地にして、この低価格は驚異的なのである。懐が寂しい時、仕事が押してランチタイムを逃した時など、働くオジサンにとって正義の味方みたいな店なのだ。
外見は古めかしいが、店内は更に昭和初期の食堂ムードである。当然、食券など存在せず、おばちゃんに「そば!」と一言、麺をゆがいている間にカウンターに並んだお好み天ぷらを物色して、「今日はゲソ」と頼み、出来上がりと同時に現金を渡す。全てカウンター越しで行われる完全対面販売(笑)である。
麺は、前述の「文殊」とは好対照のコシがあまり感じられないフワフワ麺だ。出汁は強すぎず、されど化学調味料ではない昆布・鰹の風味が仄かに感じられるものだ。ゆえに大変、胃腸に優しい。天ぷらは、当然、店内で揚げられているが、油を何度も使い回している為か、黒ずんでいて、中身が何者か判別しないものもある。これら具材を合わせると、「緑のたぬき」のインスタント麺のチープ感はそのままに、人の手の温もりを感じる極上のB級天ぷらそばの完成となる。
ゲソ+玉ネギのWノッケ=外見から何だか判らん
立ち食いソバのお蕎麦のにおい、あれはもう公害ですよね。匂いに誘惑されます。
by JUNKO (2020-12-16 15:41)
> JUNKO 様
高級な鰹節を使って無いはずなのに、あの出汁の香りに反応するように、日本人のDNAに刷り込まれているんでしょうね^^
by つむじかぜ (2020-12-17 00:10)