『野球少女』 [上映中飲食禁止]
1月の下旬から長らくリアルな映画鑑賞をしていない。
緊急事態宣言中の都内の映画館は、上映終了時刻20時を厳守している。映画1本約2時間前後なので、1日の最後の作品の上映開始時刻は17時台という事になる。平日ミッドナイト鑑賞が信条の小生には非常に厳しい時間設定だ。いくら閑職の身なれど、部下の手前、早退するまでの根性は無いサラリーマンなのである。
スクリーン禁断症状と共に、本日「首都圏非常事態宣言再延長」のニュースに触れた小生は、「もう我慢ならない」とばかりに終業と同時に猛ダッシュで日本橋のシアターに駆け込み、18時スタートのこの作品に間に合わせた。
最高球速134キロを誇り、<天才野球少女>とたたえられてきたチュ・スイン。高校卒業を控えたスインは、プロ野球選手になる夢を叶えようとするが、<女子>という理由だけでプロテストを受けられない。母や友だち、野球部の監督からも、夢をあきらめて現実を見ろと忠告される。「わたしにも分からないわたしの未来が、なぜ他人にわかるのか」――。(Filmarksより)
日経夕刊の映画コラムで高評価の本日公開初日の韓国映画だ。ジェンダー不平等により、就職や昇進などで不当な扱いを受ける「ガラスの天井」をぶち破った一人の女子高生の物語である。1997年に女性として初めて韓国高校野球部に入部したアン・ヒャンミという実在の選手がモデルと言われている。我が国の元総理大臣の愚かなジェンダー発言が国際的なパッシングを受けたが、これは政治家のレベルの低さと共に、日本全体が未だに抱える古い体質を世界中に露呈したに他ならない。まさに隣国でも状況は同じようで、ジェンダーや格差を問題化した作品が非常に増えている。どうも儒教思想に根ざした文化教育国は、現代の先進国標準には分が悪いような気がする。
主役イ・ジュヨンの魅力と洒落た脚本により、本来は重いテーマの社会派ドラマが、親しみやすいスポ根映画に昇華されている。鑑賞後の清々しさも一際の良作である。
主役イ・ジュヨンの魅力と洒落た脚本により、本来は重いテーマの社会派ドラマが、親しみやすいスポ根映画に昇華されている。鑑賞後の清々しさも一際の良作である。
典型的な韓流美人ではないが、小柄でボーイッシュな顔立ちと強い目力が、この主人公にハマり役である。そして、ストーリーが進むにつれ、彼女の人間的成長と共に美しく見えてくるから不思議である。まともにメイクアップし、髪型を変えれば別人のように妖艶にもなる。なかなか奥行きのある、今後も楽しみな女優である。
劇中では、コーチと選手、母娘のふた通りの葛藤が丁寧に描かれている。こちらの方は、韓国お得意のイケメン俳優と典型的なオバさんなのだが、一途なチェ・スインと衝突を繰り返しながら、徐々に彼女の想いを理解していく過程を見事に演じている。特に母親役は凄かった
P.S.
木之内みどり物凄く人気ありましたよね。
竹中直人と結婚するとは 夢にも思わなかった。
by ゆうみ (2021-03-07 18:08)
> ゆうみ 様
TVドラマ『刑事犬カール』は迷作でした(^^;;
竹中直人の成功は、彼女の力あってこそと思われまする!
by つむじかぜ (2021-03-10 00:19)