鰻禅【うなぎ・本所吾妻橋】 [江戸グルメ応援歌]
『うなぎ』は大好物なのである
滅多に食えないのが、また良い。寿司やステーキも以前までは同様の部類だったが、最近の流通形態の変化により、価格帯も拡がり、格安店も増えた。だが、鰻だけは変わらない。いや、ニホンウナギが絶滅危惧種に指定されて以来、高値安定が続いている。入手困難な高級食材が昔ながらの製法によって提供される日本独自の味。地域・店によって異なる風味の違いも楽しい。「自分にご褒美」とか「そろそろパワーつけねば」と勝手に理由をつけて食す折々の特別感が好きだ。
会社の決算の目処も漸くつき、ひと段落。地元の鰻屋に久しぶりに顔を出した。大阪・名古屋での転勤中に「関西風」の旨い鰻も多く食したが、やはり「関東風」の鰻には江戸前DNAが涎を流してしまう。
自宅から歩いていける唯一の鰻屋であり、外観はなんの変哲も無いお店なのだが、味は別格だ。調べれば、どのグルメサイトでもトップクラスの高評価なのである。コロナ以前は、グルメの口コミブームとスカイツリー観光帰りの中国人でごった返しており、なかなかフリーでは入れなかったが、今回はランチタイム真っ最中でも楽勝だった。
熟年夫婦ふたりで切り盛りする家庭的なお店だ。何度か通ったが、なかなか顔を覚えてくれない主人が黙々と鰻を捌いて、重さを計り、取分けている。シャキシャキ系の奥様と寡黙な主人の噛み合わない会話のバトルもこの店の売りだ。一見無愛想な主人も、日によっては機嫌が良く、口も滑らかになる。大概、常連に一杯ご馳走になった時なのだが、そんな時に聞いた話によると、都内の某有名老舗店でとことん修行し、此処で漸く独立したという。主人のこだわりは「臭みの除きとギリギリの柔らかさ」で、「うちほど柔らかい鰻はないよ!」と自信たっぷりに言う。カウンターから厨房の仕事が覗けるが、蒸しに珍しく圧力鍋を利用してから焼きに入っているようだ。ランチタイムのお品書きは「二段重」「特上」「上」の3種類のみ。要するに鰻の量の違いだけなのだが、気持ち贅沢気分で今日も「特上」を注文だ。
匂ってきますね。食べたくなります。
by JUNKO (2021-03-11 15:06)
> JUNKO 様
30年前、網走で食べた鰻屋の味が忘れられない。
名産でも名店でもないのに、舌の記憶とは不思議なものです。
by つむじかぜ (2021-03-12 01:24)
気になったので 両国に住む兄貴に電話しましたら
先日行ってきたそうです。
美味しかったと言ってました。
by ゆうみ (2021-03-14 19:04)
> ゆうみ 様
お兄様のオススメの下町銘店もお聞きしたいです^^
by つむじかぜ (2021-03-16 01:03)