SSブログ

『シン・ウルトラマン』 [上映中飲食禁止]

[かわいい]どうしても観てしまう円谷特撮[かわいい]

20220317_101313_size640wh_9105.jpeg

謎の巨大生物「禍威獣(カイジュウ)」が次々に現れ、その存在が日常となった日本。通常兵器が全く通用せず事態が長期化する中、政府は禍威獣対策の専従組織・通称「禍特対(カトクタイ)」を設立する。田村君男(西島秀俊)を班長に、さまざまな分野のスペシャリストから成るメンバーが任務に当たる中、銀色の巨人が突如出現。巨人対策のため、禍特対には分析官・浅見弘子(長澤まさみ)が新たに配属され、作戦立案担当官・神永新二(斎藤工)と組む。(シネマトゥデイより)

「ウルトラシリーズ」のリアル視聴者にとっては垂涎の「シン作 」だ[exclamation&question] 小生と同年代の庵野秀明が伝説の円谷特撮へのオマージュを遊び心たっぷりに新規に実写化した異色作だ。作品の評価がまちまちなのも当然で、年代を問わずに楽しめたヒット作「シン・ゴジラ」と違い、「ウルトラマン」と「エヴァンゲリオン」をリアル体感していなければ、今作の魅力は半減する。良くも悪くも庵野監督の独りよがり度MAXゆえに観る者を選ぶ。幼少期にウルトラマンと仮面ライダーから空想の世界でヒーローに変身する愉しみを知り、社会人になってからエヴァによって童心に還る悦びを知った小生にとって、同年代の製作者達の思考回路とシンクロするほど本作に没頭してしまった。

冒頭シーンで、日本にのみ出現する巨大生物・禍威獣(かいじゅう)を駆除する為に「禍威獣特設対策室」通称「禍特対」が設置された経緯が説明される。初代ウルトラマンでの科学特捜隊=科特隊を文字っている洒落っ気と、「ウルトラQ」(1966年放送)に登場した怪獣達を再現するサービス精神に、爺ちゃん達は一気に昭和に連れ戻される。白黒テレビで初めて観た巨大生物の映像は、リアルと特撮の区別がつかない幼稚園児にとって恐怖以外の何ものでもなかった。昨年、BSでウルトラQのデジタルリメイク版を久しぶりに観たが、当時の円谷作品の奥深さに感嘆し、現代のSF系アニメの原点が此処にあるのも再認識した。ゴメス、ペギラ、マンモスフラワーまで再現するとは、庵野氏の円谷プロへの思い入れを理解できるのは、小生のような同志だけかも知れない。但し、幼少期に刻まれた鮮烈な記憶を現代風に進化させるのが不出世のクリエイターと呼ばれる庵野たる所以なのだ。

ペギラ〜1966年
img_character-detail-peguila-origin.png

ネロンガとガボラ〜2022年
a1034290c73e066c50577043c8d1f9f31.jpeg

初代ウルトラマン〜1966年
7b198749.png

シンウルトラマン〜2022年
m6U.jpeg

怪獣達はエヴァの使徒並みにメカニカルになり、ウルトラマンはエステに通ったのかカラータイマーを脱毛し、見事に今風のシェイプアップに成功している[わーい(嬉しい顔)] だが両者とも円谷特撮伝統の「被り物」同士で肉弾戦を貫き、ウルトラマンの決め技スペシウム光線は半世紀前と同様の手書き風だ。この拘り方が堪らない[どんっ(衝撃)]

頻出する禍威獣の駆除に禍特対が悪戦苦闘する最中、突如現れた銀色のヒト型生物が瞬く間にその禍威獣たちを次々と粉砕し空に消えて行く。この謎の救世主はいつしか「ウルトラマン」と呼ばれる。前半部のスピード感が心地良い。リメイクされたウルトラマンと怪獣の戦いは、まさに日本伝統の円谷特撮の令和版だとも言うべき迫力と緻密さで、爺ちゃんは吃驚、現代っ子も納得の出来である。
序盤で早くもウルトラマンの正体が明らかになる展開だ。最初の戦闘の巻き添えで犠牲になった禍特対の神永隊員に「光の国」から到来した星人が乗り移り、地球征服を狙う宇宙人の襲来を地球人になりすまして阻止するオリジナル同様の設定を踏襲する。中盤以降は、日本政治家に言葉巧みに擦り寄りながら地球制圧とウルトラマン殺害を目論む宇宙人が続々と登場する。メフィラス山本耕史星人は笑ったが...終盤になると、実は「光の国」も地球を守る目的でウルトラマンを派遣したのではない事が露呈し、悩める宇宙人・神永がクローズアップされながら最後の戦いに突入する。

前半の圧倒的なスケールとスピード感に度肝を抜かれた反動だが、中盤以降の細かい説明抜きでは理解できない展開が少々もどかしく感じてしまう。既視感を覚えたのだが、これは「エヴァンゲリオン」的展開なのだ。謎の使徒たちを次々と撃破するエヴァに乗り込む少年少女に拍手喝采の前半から、「人類補完計画」が表面化した中盤から登場人物達の内相面に焦点をあてていく手法が酷似しているのだ。前半とは打って変わって緻密なVFXで映像化された地球壊滅の最終兵器「ゼットン」はまさにサードインパクトを惹き起こす「エヴァ初号機」そのものではないか[exclamation&question]愛すべきオタク星人・庵野監督の性癖を理解する我が世代では納得の出来栄えだが、全編を通じての一貫性の無さが一つのSFヒーローモノ作品としては及第点止まりの評価になると思われる。
それでもなお、この作品に対する製作陣・俳優陣の溢れる愛とパワーは否定できない。今の邦画界を代表する旬な俳優陣が、この賞レースとは縁が無さそうな作品に真摯に向き合いつつも、肩の力を抜いて楽しく演じているのが感じられる。伝説の円谷作品のリメイクいや「シン化」を子供に帰って
嬉々として取り組んだ製作陣の想いが伝播したのではなかろうか。長澤まさみの巨大化は必見かな[がく~(落胆した顔)]「ウルトラセブン」のアンヌ隊員並みに主人公への愛と色気が表現できれば完璧だったが...

PH8.jpeg

nlA.jpeg

家族でお子様と楽しむ映画というより、幼少期を「ウルトラシリーズ」で過ごしたシルバー割引仕様の超娯楽作であった。因みに、次回の庵野作品は「シン・仮面ライダー」らしい。悪ノリし過ぎの感もあるが、小生は絶対に観てしまうだろう。何せヒロイン役には小生お好みの浜辺美波[揺れるハート]が起用されるのだからなおさらである。そう言えば、初代仮面ライダーは、主演・藤岡弘、ヒロインは島田陽子だった。げっ、もう半世紀前なのね[あせあせ(飛び散る汗)]





nice!(25)  コメント(2) 
共通テーマ:映画

nice! 25

コメント 2

yuzman1953

つむじ風さんお薦めの「シン・ウルトラマン」を観てきました。
ウルトラマンの美しさに涙がでました。
成田 享の創造した「真実と正義と美の化身」そのものでした。
by yuzman1953 (2022-06-09 01:18) 

つむじかぜ

> yuzman1953 様
永遠のヒーローのシン化に驚愕と哀愁が溢れてしまいます^^
by つむじかぜ (2022-06-10 00:57)