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『search/サーチ2』 [上映中飲食禁止]

痺れる[exclamation×2]新感覚ノンストップ・サスペンス[ぴかぴか(新しい)]

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アメリカ・ロサンゼルスの女子高生ジューン(ストーム・リード)の母親が、南米コロンビアを旅行中に消息を絶つ。デジタルネイティブ世代のジューンは、検索サイトやSNSなどを駆使して捜索を試みるが、手掛かりはつかめなかった。母の失踪はSNSで瞬く間に拡散されて憶測が飛び交い、国境を越えた話題になっていく。さまざまな情報に翻弄(ほんろう)される中、ジューンは真相を追い求める。(シネマトゥデイより)

緊迫感の持続力が半端無いサスペンスの秀作だ。いちゃいちゃポップ&コークを愉しむ不謹慎なカップルでも指を止めざる得ない強制力は近年でも屈指のレベルと言わざるを得ない[どんっ(衝撃)]

この作品に着いて来れるかで貴方のITリテラシーが測られる[がく~(落胆した顔)]

父を幼少の頃に亡くし、いまだに父の面影を追い求めるジェーンだが、女手一人で自分を育ててくれた母・グレイスの新しい恋は静かに見守らざるを得ない。母と彼が南米旅行に出掛けた一週間、厳しい母の監視から解き放たれたジェーンは友人達とハメを外しながら楽しい時間を過ごした。そして二人の帰国の日、ジェーンは空港に迎えに行くが母の姿が見えない。予定の飛行機には搭乗しておらず、スマホも通じない。コロンビアのホテルに連絡すれば、荷物を置いたまま二人は帰って来ないという。勘の良いジェーンは事件に巻き込まれたと感じ、ホテルの監視カメラの映像を保管しておいて欲しいと交渉するも、データは48時間で自動上書きするから無理と断られる。コロンビアの大使館は、強制捜査は出来ないが善処するとの型通りの返答だ。痺れを切らせた彼女は、現地の便利屋サイトからハビエルという代行業者を雇い、ホテルとの交渉を頼むのであった...

序盤から一気呵成に母親の謎の失踪事件がクローズアップされる。ジェーンの高校生とは思えない迅速的確な行動に舌を巻く。彼女はZ世代の典型的なデジタルツールの使い手だった。コロンビアのホテル担当者が英語を解せないと知るや、翻訳アプリを駆使してスペイン語での会話を成立させてしまう。英語を話せて報酬の安い現地の便利屋を瞬時に探し出し、その場で代行契約を結んでしまう。この時点で、昭和爺いは目から鱗、これがZ世代の世界標準かと呆然とするのであった。更に、ジェーンのデジタルスキルが冴え渡る。

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母と彼氏のgoogleアカウントにアクセスし、彼氏ケヴィンのパスワードを突破して失踪当日の彼の行動履歴を把握してしまう。そして彼が元犯罪者であり、母とは別の女性と頻繁に連絡を取っていた事実までも突き止める。女子高生ではあり得ないハッカー同様の実力だが、頭脳明晰かつ合理的な推理が下敷きにあるので自然と受け入れてしまう巧みな演出が素晴らしい。ケヴィンが主犯の誘拐ではと疑うジェニーだが、FBIは非合法で入手したデータを元には捜査できないと言う。そして便利屋ハビエルの活躍で、観光地のライブカメラに仲睦まじく映る二人の姿を確認するのも束の間、その直後に拉致誘拐される映像が何者からか警察に送られる。

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息もつかせぬ展開に1秒たりとも目を離せない。大スクリーンでPCやスマホの画面をこれほど観る経験は初めてだが、瞬時にツールとアプリを使いこなすジェーンのスキルは、まさに我ら昭和世代には神業にしか見えない。だが、ストーリーは更に二転三転し、謎が謎を呼ぶ。ジュニーはコロンビアでケヴィンと共にいた母は別の女性であるのを見破り、母が国内に潜伏している可能性を見出す。そして知られざる母の過去までもが明るみに...果たしてこの事件の真犯人は、その目的とは?ジェニーは母への愛慕と疑惑の葛藤に苦しみながらも、真実に向かって突き進む。PCとスマホを駆使しての彼女の戦いは熾烈を極め、それは事件を予想外の方向に収斂させて行くのであった...そして衝撃のフィナーレ[かわいい]

出演者は全て未知の俳優であったが、この緊迫の展開に見事に溶け込んでいた。ジューン役のストーム・リードは決して美形タイプでは無いが、今風のアメリカの出来る女子高生を好演だ。少々冷静沈着過ぎるきらいはあるが。そして親友役のメーガン・スリは小生のタイプ[揺れるハート]でございます。外国から無理難題を押し付けるジェーンに協力する便利屋ハビ役のヨアキム・デ・アルメイダが中年親父の良い味を出していた。張り巡らせた伏線の想定外の回収法は見事としか言わざるを得ず、それを極めて自然な描写で映像化した制作陣の力量は半端では無い。シーン毎の挿入音楽も目立たないが示唆に富んでいる。
昭和世代には最新のITスキルの勉強にもなる、極めて異色かつ極上のサスペンスの傑作と言えよう。小生のような還暦爺いでも何とか内容には着いていけたが実戦は無理だな。とにかく、パスワードの使い回しだけは面倒でも習慣づけねばと誓うのであった[あせあせ(飛び散る汗)]

勢い、前作「search/サーチ(2018年)」を配信で観た。この作品も素晴らしい出来栄えだ。今作との関連性は無く、登場人物も全く違う。今作は失踪した母を娘が探す設定だが、前作では中年親父が消えた娘の探索に執念を燃やす。スピード感と意外性はサーチ2が抜けている反面、サーチでは親子の情愛が深く描かれている。感じたのは、僅か5年前の作品と新作を比べてもITの進化が著しい事だ。サーチ3が公開される頃には世界はどんな情報社会になっているのだろうか。そんな未来で爺さんは如何にIT機器と共存出来ているのかと...




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