SSブログ

昼下がりの「赤坂」を歩く① [寫眞歳時記]

人事異動の間隙に有給を使って平日に街をぶらついてみた。足早のスーツ姿の人々を横目に私服でノンビリと徘徊する。久しぶりに味わう背徳感[あせあせ(飛び散る汗)]に身を委ねて、本日は青山通り沿いの赤坂の一角をピンポイントで狙う。サラリーマン泣かせの平日のみオープンの施設があるからだ。

ほとんどの外国大使館は一般の日本人が入ることはできないが、赤坂に在るカナダ大使館は美術館を併設しており常時一般開放されている事を最近知った。「高円宮ギャラリー」では『やまびこ:日加修好95周年記念 野辺地ジョージ写真展』が開催されており、生まれて初めて大使館を訪ねてみた。

20240406-DSC00574.jpg

20240405-DSCF2892.jpg

入り口でガードマンの言われるままに運転免許証を渡し本人確認を受け、空港並みの検査機で荷物チェックが終わると、その後は拍子抜けするほどの自由行動となった。長い外エスカレーターで3階に上がる。此処が一般人用の入り口らしいのだが、係員も警備員も誰もいない。

3階ではバルコニーにも出られて、日加折衷?の庭園とカナダ人アーチストによるオブジェが楽しめる。

20240405-DSCF2905.jpg

20240405-DSCF2970.jpg

20240405-DSCF2901.jpg

20240405-DSCF3011.jpg

20240405-DSCF2983.jpg

和風庭園を模しているのだが、洗練された北米風のデザインが異国情緒を醸し出す。案内板を見ながら、誰も居ないフロアからエレベーターで地下2階のギャラリーに向かった。野辺地ジョージはカナダ人の父と北海道生まれの母を持つ日米バイリンガルだ。銀行の投資トレーダーから30歳を過ぎて写真家に転身した異色の経歴を持つ。北米大陸の大自然から地方都市で暮らす人々の日常を切り取ったさまざまな写真が展示されていた。無理な演出やテクニックに重きを置かない自然な描写が心地よく、小生には非常に好きなタイプの写真が多かった[わーい(嬉しい顔)]

20240405-DSCF2910.jpg

20240405-DSCF2917.jpg

20240405-DSCF2924.jpg

同じ地下2階には「オスカー・ピーターソン・シアター」と「E.H.ノーマン図書館」がある。この日は図書館は閉じていたが、カナダが生んだJZZピアニストの巨匠の名を冠したホールは扉が開いていたので少々見学。

20240405-DSCF2949.jpg

更にエレベーターで1F玄関ホールに行ってみる。玄関とは言っても内部からは脱出不可能だ。美しいエントランスホールを見ながら、一般職員は何処から出勤するのかが謎が深まるのだが..結局、厳重な受付を突破してからの館内では清掃員の方2名とすれ違っただけだった。

20240405-DSCF2955.jpg

20240405-DSCF2951.jpg

旅行以外で海外の国々を理解するには、こういうオープンな大使館との交流が大事なのかもしれない。サービス精神旺盛?なカナダ大使館に感謝[かわいい]

20240405-DSCF3027.jpg

大使館の隣は『高橋是清翁記念公園』が在る。対面の赤坂御用地と比べれば僅かな緑地だが、戦前の金融界の首領と呼ばれ非業の死を遂げた宰相が、自分の邸宅跡地の奥まった所に鎮座している。此処の隣に建つのが丹下健三が手がけた『草月会館』(1977年竣工)だ。

20240406-DSC00573.jpg

いけばな草月流の総本部であり、地下1Fに多目的ホールを備え上層階は賃貸オフィスとなっている。圧巻なのは1F草月プラザの大半を占める大空間だ。土日は休館だが、本日は2Fのカフェも営業中なので昼食も兼ねて初めて入場できた。

20240405-DSCF3075.jpg

20240405-DSCF3041.jpg

20240405-DSCF3058.jpg

20240405-DSCF3050.jpg

20240405-DSCF3060.jpg

20240405-DSCF3064.jpg

花と石と水の広場『天国』・・・1977年、イサム・ノグチが勅使河原蒼風(初代家元)の依頼により製作した石庭である。
丹下健三、イサム・ノグチ、勅使河原蒼風というジャンルは違えど昭和の日本文化を牽引した三人の芸術家の足跡と想いが詰まったビルが今も健在であることに感動しながら、3Fの談話室で遅い軽食を摂るのであった。チキン・サンド&あんバタサンド[あせあせ(飛び散る汗)]

20240405-DSCF3037.jpg

20240405-DSCF3045.jpg

更に1ブロック歩いて...次回に続きます[ぴかぴか(新しい)]






nice!(36)  コメント(6) 
共通テーマ:地域

『AJICO』 IN 日比谷野音 [偏愛カタルシス]

念願のAJICOのステージを日比谷野外音楽堂で時を忘れて堪能した[るんるん][るんるん][るんるん]

UA浅井健一を核として1990年に結成されたAJICOはわずか1年で解散する。熱狂的なUA、BLANKEY JET CITYのファンではなかったのだが、二人の天才ミュージシャンがまみえた奇跡の化学反応にTOKIEと椎野恭一の強烈なリズムセクションが折り重なって、邦楽ロック史上でも特異かつ稀有な音楽を生み出した...と小生はベタ惚れだったのだ。バンドが残した一枚づつのスタジオアルバムとLIVE盤は小生のヘヴィロテ盤となっていたが、当時の生演奏を聴けなかった悔いはずっとひきづっていた。

金の泥(2001年)


それがなんとコロナ禍の2021年に20年ぶりに再結成され全国ツアーも開始するが、一歩情報が遅くあえなくチケットゲットならず辛酸を舐めた。そして3年の沈黙を破っての再始動だ。今回こそは決死の思いで事前登録し、なんとか2枚のチケットを獲得したのだ。

同伴者は33歳の長男だ。元々は中学時代からの親友を誘っていたが、仕事の都合で来れなくなり、急遽代打ちを頼んだら珍しく乗って来た。息子も父親の教育が宜しく、立派なロック親父に成長しているようだ。二人でコンサートに行くのは、彼が高校1年時のジェフ・ベック来日以来だ。あれが最初で最後と思っていたが、長生きするものである。お互い妻を家に残しての不良親子の音楽観戦となった。

20240330-DSCF6144.jpg

20240330-DSCF6147.jpg

音楽堂は1923年竣工され二度の改築を経て現在に至る100歳の長寿ステージだ。老朽化が進み、今秋の取り壊しが予定されていたが、先日1年間の延長が決定したようだ。大正時代からだれだけの音楽を発信してきたかと思うと感無量である。

18:15演奏開始〜オープニングは新曲の「ラブの原型」だ。よくある再結成バンドと違ってAJICOは昔のヒット曲に甘えない。今年還暦のベンジー(浅井健一)だが、音楽の進化への欲望は未だに衰えていない。新たにキーボードの鈴木正人をメンバーに加え、常に新曲にチャレンジし、20年前の曲は大幅にアレンジを加えて新しい命を吹き込んでいるのだ。20年の月日が、思い描いた音楽を着実に形に出来るまでのプロフェッショナルへと彼らを昇華させたのだ。



ベンジーのグレッチのギターは、優しく枯れた音色を奏でたと思えば闇を切り裂かんばかりに火を噴く。そして異次元に踏み込み込んだギタリストをタイトかつ正確な椎名のドラミングが彼を現世に引き戻す。椎野恭一はCoccoのバックを務めた頃から知るが、彼の独特のリズム感とスティック捌きが曲の温度感を左右すると言っても良い国内屈指のドラマーだ。もう一人のリズム隊のTOKIEは、元々は容姿優先でベンジーに選ばれたベースシストらしいが、今ステージでの存在感は20年前の比ではない。ベースラインが歌うように豊富になり、実績に勝る他のメンバーと遜色が無くなった。自信と経験が立ち姿を更に美しくさせた。そしてUA。天性の歌姫はLIVEでこそ真価を発揮する。破綻しない音程は当然ながら、曲を全て自分のモノにして発する言葉の強さと温かさ。デビュー当時は無機質に聴こえた歌声が今や命漲る母の声だ。決して独りよがりにならず、演奏に溶け込むプロの佇まいは、間奏中にリズムに合わせたパファーマンスにも表れる。決して踊り狂う訳では無いが、身体を動かすリズム感が絵になり過ぎだ。
4人4様のプロフェッショナルの激突と融合は、20年の熟成の期間を経て「音楽の素晴らしさ」を改めて我々に示してくれた[ぴかぴか(新しい)][ぴかぴか(新しい)][ぴかぴか(新しい)]



まさに魂震える2時間だった。

ここまでの気持ちを長男と共有できたかは不明だが、還暦を超えて息子とオールスタンディングのLIVEに来られただけでも不思議な幸福感に包まれた。浅井健一が無名だったBLANKEY JET CITYのリーダーとして平成いかすバンド天国(イカ天)」に出演したのが平成2年。その年の秋に長男は札幌で生まれたのだ。

日比谷の中華料理店で遅めの夕食を摂りながら、「あと10年もすれば、孫と3世代でLIVEに行けるかもしれんなぁ〜」と息子に語りかけるロック爺いなのでした[わーい(嬉しい顔)]


ラヴの元型 [初回限定盤] [CD+DVD]

ラヴの元型 [初回限定盤] [CD+DVD]

  • アーティスト: AJICO
  • 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
  • 発売日: 2024/03/13
  • メディア: CD
3年前のコロナ禍でのLIVE映像を収めたDVDも秀逸[るんるん]
 
20240330-DSCF6148.jpg

ありがとうAJICO
ありがとう野音

nice!(35)  コメント(4) 
共通テーマ:音楽