中銀カプセルタワービル [寫眞歳時記]
今年中に取り壊されるレトロビルの見学に行って来た。
1972年に竣工された黒川紀章氏設計のマンションである。
独特のフォルムを味わいながら望遠レンズで撮影していると、小生と同年代風のご夫婦に声をかけられる。
「建築関係の方ですか?」
『いえいえ、今年中に解体と聞いて写真を撮りに来ただけですわ』
「私、ここのマンションに部屋を持ってますので、よろしかったら中からご覧
になりませんか」
一瞬戸惑うも、ありがたくご厚意に甘えることとする。休日の為、正面玄関は閉鎖中で入居者専用の裏口から案内された。エレベーターホールの古びた集合ポストに哀愁を覚える。ご招待された6階の一室は4畳足らずのワンルーム。横浜在住の建築士であるご主人が4年前に購入されたという。週末専用の書斎のはずが、ほぼ友人達との酒盛り場と化したらしい。使用されないユニットバスには大量に洋酒の空き瓶が鎮座していた。丸窓から眺める都会の夜景も格別であろう。いやはや羨ましい限りの男の隠れ家である。