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「百段階段」に惑いながら② [寫眞歳時記]

雅叙園を出て5分ほど中目黒方面に車を走らせる。大通り沿いの駐車場に停め、住宅地を歩く。国内随一のアフタヌーンティー専門店を探すのだ。知る人ぞ知る人気店ゆえに予約無しでの入店は無理だろうし、そもそも営業日が不定期らしい。それでもこの店を探したのは建物自体に興味があったからだ。

Thre Tiers(スリーティアーズ)・・・2019年にオープンしたティーサロン。イギリス伝統のスタイルを踏襲したメニューは、ティーフーズから紅茶まで細部に亘って拘り抜かれており、築85年の洋館で戴くアフタヌーンティーは味・雰囲気共に格別との事だ。

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...だったが、やはり休業中だった[たらーっ(汗)]昭和12年に海軍軍医だった砂堀雅人が鎌倉から移築したと言われている。「旧砂堀医院」として2018年に登録有形文化財に認定され、翌年スリーティアーズが引き継ぎリノベーション後にティーサロンに生まれ変わった。切妻造平入を正面に妻入の別棟が奥に建てられている。縦長の窓枠が時代を感じさせてくれる。内装も素晴らしいのだろうが、残念ながら本日はそれが叶わない。

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こんな雰囲気の店内らしい(同店HPより)
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何とか営業日に伺って、爺い独りでは勿体無いのでカミさんと二人でブリテッシュ・ムードを存分に堪能したい。熱々の焼き立てスコーンにメープルシロップをぶっかけて紅茶で流し込む〜うん最高だな[わーい(嬉しい顔)]
 
更に高台の住宅地の奥に進んでみる。結構勾配がきつくて汗だくになる。最近漸く体重増には歯止めがかかってきたが、足腰は年相応に弱っているらしく坂道が辛い。標高が上がるごとに邸宅が豪華になって行く。「金持ちほど高い処に住みたがるのは人を見下ろしたくなるから」というのが下町育ちの小生のひねくれた私見なのだが、山の手の高級住宅地に来ると常に感じてしまう。そんな中目黒の高台に廻りとは少々異質な古いマンションが建っている。

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カーサ中目黒・・・1974年竣工のヴィンテージマンション。私のお気に入りの建築家・梵寿綱の作品だ。初期の製作であり、一目で彼と解る奇天烈なデザインはまだ影を潜めているが、随所に当時の新進の前衛建築家の爆発寸前の熱いマグマの息遣いが感じられる。とにかく彼の建築には意味不明のオブジェが多く仕込まれており、それを見つけるだけで楽しくなるのだ。

正面エントランス上の壁画に刺さる角笛?望遠鏡?
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駐車場に繋がる通路に唐突に現れる国籍不明の壁画
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他の彼の建物でも見かける謎のオブジェ〜私は豚ホルモンに見える[あせあせ(飛び散る汗)]
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ブロンズ天使の飛翔[exclamation&question]
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ホルモン?の塀の上をカタツムリが這う
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キリスト教会風だがアラベスク調とも言える??
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[かわいい]なんて楽しいマンション[かわいい]
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半世紀経ても色褪せない芸術家のパワー[パンチ]
このヴィンテージ・マンションの住民は、きっと作成者の魂に触発され、洒落心のある方々に違いない。ただ後期の梵が手掛けたマンションのユニークさは一段と常軌を逸しているので、住民にはそれなりの覚悟が求められる。彼の作品は被写体としても秀逸なので、これからも追い続けて行きたいと思う。

駐車場の近くの蕎麦屋で、もりそばを瞬間芸のように秒で食い雅叙園に戻る。生真面目な父ちゃんは時間厳守なのだ。テラスで珈琲を啜っていると、同窓生に囲まれて妊婦の長女がガニ股で歩いて来た。あと2ヶ月もすれば、初の外孫をこの手に抱いているはずだ。母子共に健康であるようにそっと祈る。

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