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迎賓館赤坂離宮の夜 [寫眞歳時記]


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不覚にも通期で一般公開しているとはつゆ知らず[むかっ(怒り)]
国賓来日のニュースの中でしか観たことが無かった世界に初めて触れて来た。しかも本日は、本館がライトアップされる特別夜間公開日なのだ。カミさんも我が家に居座る身重の長女も都合が付かないというので、爺さん独りで颯爽と赤坂に出掛ける。夜間撮影を想定して、本日のお供は久しぶりにフルサイズのSony α7Rだ。

迎賓館赤坂離宮・・・明治42年に東宮御所として建設された宮殿である。赤坂離宮と呼ばれていたが、戦後に皇室から行政の財産となり、改修を経て迎賓館となる。我が国唯一のネオ・バロック様式の建築物であり、国威を懸け当時の技術の粋を集めた近代建築の到達点と言われている。2年間の大改修を経て平成21年に国宝に指定された。

西門から入場し厳重な手荷物チェックの後、チケットを購入して本館見学だ。当然ながら写真撮影厳禁。ベルサイユ宮殿がフラッシュ無しなら撮影自由なのに対し、この辺りがお国柄というか、ずれているというか、「一体、何から守ろうとしているのか?」がいまだに分からない。芸術家個人の著作権が存在する訳でもないのに、我が国の文化財への頑なな姿勢には辟易する機会が多い。と、カメラ爺いの独り言は置いておき、本館内部の豪華絢爛な装飾は筆舌に尽くしがたかった。

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「朝日の間」「彩鸞の間」「羽衣の間」「花鳥の間」と名付けられた各部屋を巡ると、共同記者会見や晩餐会などのニュースの記憶と重なる。そしてテレビからは伝わらない国の威信を賭けた見事な意匠に直接触れ、溜息が漏れる。富国強兵を叫ぶ明治期に、西洋の真似事から追い付き追い越せと国力を高めた日本の弛まぬ努力が見える。ベルサイユやバッキンガムの模倣ではあるのだが、日本独自のモチーフが埋め込まれたり、和の匠の技が随所に光り、日本人のプライドを擽る。外国に見栄を張るならトコトンやれだ、どうせ我々の税金だし[あせあせ(飛び散る汗)]

普通の洋館や美術館と違いショップも喫茶室も無いのであっさりと退出し、庭から建物全体を眺める。噴水と花壇がある本庭は、通常は外部から見ることが出来ない一般人側からは裏庭なのである。

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徐々に陽が落ちてきたので、通りに面した前庭に廻る。本日は特別公開なので庭園内でガーデンカフェが設置されていた。キッチンカーが何台か営業しており、ライトアップまでの時間に軽食を摂る。トルティーヤなんぞ初めて食ったわい[あせあせ(飛び散る汗)]

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すっかり帷が落ちると演奏会が始まった。ヴァイオリン2基とチェロによる調べが、美しいドレスを纏った3人の美女によって奏でられる。PAの調子が少々悪いのが残念だったが、一瞬ヨーロッパの古都の街角で聴いている錯覚に陥った。

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近代日本の至宝を目の当たりにし、幻想的な演奏会に触れた、素敵な非日常のひと時だった。雲に覆われ星も見えない夜空から一瞬半月が顔を出す。煌めく迎賓館を眺めに来たようだ。

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