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翁そば【蕎麦・浅草】 [江戸グルメ応援歌]

この店で、蕎麦を啜っていると、自然と気持ちが暖かくなってくる。

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浅草六区通りから1本裏道に入ると、昭和レトロ感溢れる小さな蕎麦屋がひっそりと佇んでいる。

15年ほど前に、六区の場外馬券場で見事に撃沈した帰り道、ふらりと立ち寄った店だ。注文を取る美人姉妹の笑顔と、子供時代に連れ戻されたような店内の雰囲気に、荒んだ心が一気に和らいでいった。

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月日は流れ、依然として家族経営のスタイルは変わらないが、店の切り盛りは、大ベテラン夫婦から次女夫婦にゆっくりと移り変わっているようだ。このお店の一風変わった特徴は、お品書きに無い、お客の我儘な注文やトッピングが、いつしか裏メニューとして厳然と常連達に認められている事である。

常連ぶった小生が注文するイチオシは通称「ひや大」〜冷やしカレーそば大盛り

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冷たいカレーではなく、ちょうどいい温さのカレーなのだ!
通常のカレーは、沸騰寸前の超熱々で、「フーフー」しながらゆっくり汗かいて食すのが定番であり、一気喰いなどすれば火傷必至だ。まさに、気が短く猫舌の江戸っ子仕様の特別メニューなのである。
店独自の平打ち麺に結構辛めの和風カレー餡が絡まり、これを勢いよく「ズズズっー」啜れる至極の瞬間[ぴかぴか(新しい)]
この「ひや大」に「玉落とし(生卵)」「餅1個」のトッピングが、つむじ風空腹時の黄金メニュー。更に「別盛り」でとお願いすると、ルーと麺を分けてくれ、カレーせいろに早変わりするのだ。

当店の絶妙な「つゆ(かえし)」の味を堪能するなら、たぬき蕎麦がオススメ。
腹ペコ小生は、餅を入れて、「ちから蕎麦」にしてしまうけど。

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他店ではまず巡り会えない「甘辛い」そばつゆと天かすの油とが混じり合い、上述の程よい太さの平打ち麺を喉ごしよく胃袋に流し込んでくれる。堪らん^^



明治から昭和初期にかけて、東京一の盛り場だった「浅草」は、高度成長期以降は、時代に取り残された繁華街となる。交通網の発達と都民生活の多様化により、文化の発信基地は、銀座、新宿、渋谷、六本木へと移り変わった。私は、中学校からの下校途中に、悪友達と「花やしき」(日本初の遊園地、当時は入園無料だった)でジェットコースターに乗り、もんじゃを食って帰る日々が多かったが、すでにその頃から、仲見世も六区でも人混みに巻き込まれるような事は一度も無かった。コロナ禍の自主規制による今の閑散さは、45年前のゴーストタウン手前の姿と重なる。
この10年で、インバウンド効果により、青色吐息だった地元商店・飲食店が息を吹き返し、東京有数の観光地として、浅草は生まれ変わってきた。昔からの名店、そして同級生や親戚の家業も、皆、元気になってきた矢先での、今回の事態は、小生にとっても人ごとでは無い。兎に角、「下町根性」で、苦境を乗り切って欲しい。たまに食いに行くぐらいしか私は応援できないけど...

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