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東京割工業 [寫眞歳時記]

子供の頃から慣れ親しんだ風景が消えるのは寂しい。

私の住む町内で一番古いと思われる工場が先日取り壊されていた。


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東京都墨田区は今でも「ものづくりの街」と呼ばれるが、私が幼少の頃は近所の至る所に町工場が在り多くの職人が住んでいた。金属プレス、ガラス製造、木材加工などの下請けの小さな工場が散在し、子供達の絶好の探検の場でもあった。まだ大らかな時代で、小学生が勝手に忍び込んでも、そのまま仕事を見学させてくれたものだった。

「東京割工業」は創業100年を越す皮革プレス専門の会社だ。国道6号線沿いに建つ工場は、私が物心つく頃から稼働しているので、築60年以上は間違いない。大きなプレス機で職人さん達が色とりどりの革に型押しの作業をしている姿が今でも思い浮かぶ。

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正面の半円ドームのフォルムとボロボロのホーロー看板が印象的な外観だった。昨年末に廃業したらしく、隣の従業員宿舎と思しき建物共々解体され更地になっていた。どうやら高層マンションが建つらしい。昨年撮り貯めた近所の写真の中にこの建物が含まれていたので、自分の記憶の風景としてアップしてみた。時代の流れと共に近所の工場のほとんどは廃業もしくは移転し、跡地は集合住宅に変わって行った。建築物には寿命があるので、感傷にだけ浸るつもりは無い。なにせ、こんな下町にスカイツリーみたいな超近代建造物が聳える時代だ。ただ、日本が誇る職人の技術が消えていくのが残念で仕方ない。

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コメント 3

hagemaizo

手ぬぐいに深川という文字が読めます、下町、職人。
by hagemaizo (2021-11-25 05:19) 

JUNKO

全く同感です。残念ですね。
by JUNKO (2021-11-25 17:04) 

ゆうみ

職人の方 大切な寶だと思います。
by ゆうみ (2021-11-28 23:17) 

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