ブラザーズ【ハンバーガー・人形町】 [江戸グルメ応援歌]
子供たちが幼少時には、マックやモスで家族みんなで良く外食をした。
自分の子供より食べ盛りの父親は、ハンバーガー3個でも足らずポテトやナゲットを喰い漁り、カミさんから「あんたバカじゃないの、カロリーいくつだと思ってるの!しかも子供みたいにベタベタこぼして」と叱られたものだった。当時のハンバーガーは、美味しく味わうよりも空腹を満たす為に流し込む固形物に近かった。そして子離れ以降は、滅多にハンバーガーショップに立ち寄る事は無くなった。
先日、いつものようにランチタイムに街を彷徨いていたら、真っ赤な外装のレストランの前を通った。ハンバーガー専門店であるのは承知していたが、当然のように常に素通りしていた。だが、何故かこの日に限って「何段重ねのバーガーをかぶりつきたい」衝動に駆られてしまい、思わず入店してしまった。人形町で働き始めて3年経つが初めてのランチ経験だ
内装も赤を基調にしたアメリカンな明るい雰囲気だ。テーブルは満席で、カウンター席に座る。メニューを見ると多くの種類のバーガーとお得なランチセットなどもあるが、滅多に来る事も無さそうなので、「1番のオススメはどれですか?」と店員さんに聞き、少々割高だがお店一押しの商品を注文してみた。
なかなかの迫力である。そして食べ方がわからない...と、メニューと共に食べ方ガイドが置いてあったので、見よう見まねで実践だ。ナイフとフォークを使っての上品マナーも書いてあったが、ここは店オススメの紙に包んでのかぶりつきしかない
『美味い』
初めて知るハンバーガーの複雑な旨味が喉元を流れる。トマト・レタス・タマネギの野菜のフレッシュ感に濃厚なバーベキューソースに包まれたチーズがけのパティとベーコンから溢れる肉汁が絡まる味のハーモニー。とそこにパイナップルの甘味が後からいい具合に追いかけてくる。小生は、主食とデザート完全分離派であり、酢豚に入ったパインやアボガド寿司は絶対に許せない主義だが、これは許す多分、紙に包んでのかぶりつきだからこそ味わえる食感だと思う。中身が溢れない程度に押し潰し、上から下までの具材が全てが口に入るように一気に頬張るのが秘訣のようだ。ナイフ・フォークでお洒落に食しては未知の領域には踏み込めないであろう。
店内の雰囲気同様に従業員の接客も明るくフレンドリーで非常に小気味良い。ソースをネクタイにこぼしていたのに気づき、食後にハンカチを濡らして必死に落としていたら、店員さんがシミ落とし液をスッと貸してくれた。子供じみた爺さんにも優しいサービスだ勢いで飛び込んだ店での新鮮なランチタイムに感謝の1日だった。
その夜、TVで「マツコの知らない世界」を見ていたら、なんとハンバーガー特集だ。しかも昼間の店が紹介されているではないか「ブラザーズ」は知る人ぞ知るハンバーガーの老舗で、多くの職人を輩出している銘店なのだそうだ。この図ったような偶然をカミさんに自慢したら、「アンタ、ところで何個食べたの?」と責められる始末だ。暴食家を卒業した自称美食家親父は切々とハンバーガーの魅力を女房に伝えるのであった。
そして2日後の夜。仕事帰りに同じ店でハンバーガーを頬張る親父の姿が...
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