SSブログ

『ジョン・ウィック:コンセクエンス』 [上映中飲食禁止]

爽快!超ノンストップ・アクション

362231896_792700992859295_1118795194792732874_n.jpeg

伝説の殺し屋ジョン・ウィック(キアヌ・リーヴス)は、裏社会のおきてを破りながらも粛清の包囲網を生き延び、全てを支配する組織「主席連合」と決着をつけることを決意する。一方、組織内での勢力拡大をもくろむ高官グラモン侯爵(ビル・スカルスガルド)は、裏社会の聖域だったニューヨークのコンチネンタルホテルを爆破。さらにジョンの旧友でもある盲目のケイン(ドニー・イェン)を抱き込み、ジョン狩りを始めようとしていた。(シネマトゥデイより)

シリーズ未見につき、前3作をNet配信でサラッと予習して臨んだ最終章である。Laby様のアドバイス通り、冒頭に前作までのあらすじが流れたので予習無しでも楽しめただろうが、やはりキャラへの思い入れの深さが違ってくる。寝不足になった価値はあったというものだ。

キアヌ・リーブスも気付けば還暦間近なのだ。「マトリックス(1999年)」での煌めく精悍さは影を潜め、その代わりに重厚さと貫禄を身に付けた。黒革のロングコートからダークスーツへと黒尽くめのファッションは同じままだが、身から発する圧倒的な存在感に息を呑む。ほぼ同級生のトム・クルーズと双璧の初老アクション・スターだが、未だに若さに固執するトム様とは似て非なる俳優である。

1612265011295-neostopsbullets.jpeg

john-wick-keanu-reeves-sword-suit.jpeg

長尺160分間の大半がアクション・シーンというより『殺戮シーン』の連続だ。銃撃とカンフーを組み合わせた「ガンフー」なるアクション分野を切り開いた同シリーズだが、大阪も舞台になった本作では更に「日本刀」がフィーチャーされ日本版殺陣・チャンバラの要素も加えられた。まさに「キル・ビル(2003年)」を彷彿させるノンストップ殺人が延々と続くが、タランティーノ節よりもはるかに小気味良く、まるでゲーム感覚のように死体が山積みだぁ[あせあせ(飛び散る汗)]

亡き妻の遺した犬が殺された事で現役復帰した伝説の殺し屋ジョンが、結局は組織から命を狙われる羽目になるのがシリーズの大筋である。世界の裏社会を牛耳る暗殺組織を敵に回し、高額の懸賞金目当てで押し寄せる同業の殺し屋たちを次々と撃破するキアヌ・リーブス。スタント無しの殺陣の迫力は彼の面目躍如であり、作品の魅力の骨格でもある。とにかく常に満身創痍の状態で戦いギリギリのところで命を繋ぐのが彼の勝ちパターンであり、観る者からも安心の筋書きなのである。何度刺されようが、何発銃弾を打ち込まれようが、何台の車に轢かれようが、立ち上がる人間離れしたタフネスさに、遂には呆れて笑いが込み上がるほどだ[わーい(嬉しい顔)]

シリーズを通じて「男の友情」も随所に織り込んでいるが、本作は過去作以上にその色彩を全面に押し出している。今回は二人のアジア人俳優がジョンの旧知の友人として登場する。

john-wick-4-keanu-reeves-cosa-mostra-scena-post-credit-ispirata-kill-bill-v3-641537.jpeg

言わずと知れたドニー・イエン真田広之が、ジョンと同業者であり親友役として登場する。香港・日本・アメリカを代表する盛りを過ぎたアクション・スター3名の年齢を感じさせない殺陣が圧倒的かつ沁みる。老いても弛まぬ努力で鍛錬を続けた俳優魂に脱帽すると共に、その妙技を見事に切り取ったカメラワークと精緻な殺陣構成が秀逸である。真田演じるシマヅはジョンとの義を貫き、ドニー演じるケインは愛娘を守る為に親友との戦いを選ぶ。ハリウッドのギャング映画にサムライ魂と香港ノワールのエッセンスを加え極上の『哀しき漢たちの物語』に仕上がっている。

bill-skarsgard-john-wick-4.jpeg

数多の窮地を乗り越えラスボス・グラモン侯爵(ビル・スカルスガルド)との最終戦に臨むのはお決まりのパターンだ。だが、クライマックスへの過程が実に緻密な演出が仕込まれており、思わず「そう、来るかい[exclamation&question]」と唸る。ラスボスの代理人に指名されたケインとジョンの一騎打ちの対決方法は、最後の土壇場でアメリカ伝統の西部劇風の拳銃勝負を用意する周到さだ。そして衝撃の決着[どんっ(衝撃)]このサクレ・クール寺院の決闘は、アクション映画史上の傑作シーンの一つになるかもしれない。

John-Wick-movie-last-fight-scene-2048x922.jpeg

残虐な殺戮シーンを小気味よく見せる映像の巧みさと殺陣の迫力、アクションシーンが大半でありながらも、その行間に流れる「男の哀愁」に胸が高まる。無理してでも過去3作をおさらいしておけば、貴方も明日から愛犬家[ダッシュ(走り出すさま)]007やM:Iシリーズとは一線を画すアクション映画の金字塔であり、納得感動の最終章だった。
そして今春に急逝した1作目からジョンの理解者として活躍したコンシェルジュ役のランス・レディックに合掌。


nice!(32)  コメント(6) 
共通テーマ:映画

nice! 32

コメント 6

青山実花

『ジョン・ウィック:コンセクエンス』、
まだ観ていません。
死体が山積み、
映画だから許されるし、
ストレス解消になりそうですね^^;
映画を観る時間がもっと欲しいです^^

by 青山実花 (2023-10-21 09:39) 

よしあき・ギャラリー

これは痛快そうですね。
是非、観よう。^^v

by よしあき・ギャラリー (2023-10-21 10:00) 

Labyrinth

流石! つむじかぜさん! 素晴らしいレビュー♪ 興奮気味に拝読です♪ 
“アクション映画史上の傑作シーンの一つになるかも”
ですよね…! (^_-)-☆ 良いお言葉ありがとうございます。
by Labyrinth (2023-10-21 19:36) 

つむじかぜ

> 青山実花 様
基本的にストレス溜まったら寝不足覚悟でアクション映画を観る
ことにしております^^;
by つむじかぜ (2023-10-25 02:08) 

つむじかぜ

> よしあき・ギャラリー 様
オススメ、気分爽快です!
by つむじかぜ (2023-10-25 02:09) 

つむじかぜ

> Labyrinth 様
Laby様のアドバイスのおかげで堪能できました!
ありがとうございました^^
by つむじかぜ (2023-10-25 02:10)