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早稲田に行く② [寫眞歳時記]

早大に来たなら是非とも此処に立ち寄らなければいけない[ぴかぴか(新しい)]

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ドラード和世陀・・・梵寿綱(ボンジュコウ)の手によるテナント併設のデザイナーズマンションである。早大正門から歩いて3分程の交差点で異彩を放って佇んでいる。バブル景気に向かって日本経済が黒いマグマを溜め込んでいた昭和末期の1983年に竣工された。

規格化された高層マンションが乱立した高度成長期に、商業主義優先の建築様式を真っ向から否定した若き建築家・田中俊郎は独自の世界を模索していた。70年代から梵寿綱と改名した彼の創り上げる独創的な作品群は賛否両論を巻き起こしながらも、いつしか彼は「日本のガウディ」と評されていくのであった。ドラード和世陀はこの奇才の絶頂期の作品らしい。

今春に事前情報を元に気合を入れて訪れたのだが、外壁の補修工事の為に全面に足場が掛けられており、全貌を確認出来なかった。女房が一階のアンテックショップで小物を買い物しただけに終わったが、今回ようやくこの建物に向き合えた。建築マニアの間で垂涎の建物と言われるのも頷ける驚愕のデザインだ。左右非対称の曲線を多用したユニークな造形で色彩は落ち着いた白を基調にしている。驚くべきは外壁に施された無数のオブジェや壁画である。

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1F部分は美容室、画廊、アンティークショップがテナントとして営業しており、2F以上が住宅という構成だ。ゆえに建物内にはエレベーターホールの手前までは自由に入る事が可能だ。恐る恐るニンニク大王みたいな男の舌に誘われて侵入すると、外装以上に常軌を逸した装飾に驚愕し、カオス的な非日常に溺れてしまう。

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後期のアントニオ・ガウディのような崇高な宗教性は全く感じられ無い。東洋と西洋の融合どころか節操の無い無国籍ぶりは見方によってはキワモノ系である。梵に共鳴した芸術家や職人十数人が自由気儘に制作したという造形の饗宴なのだ。
天井から垂れ下がる掌に触れると40年前の時流に反抗したクリエイター軍団の熱い血潮が脈打って聴こえたのは気のせいだろうか?

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梵寿綱の作品群は常に底知れぬパワーを発し、いつもでも見惚れてしまう魅力に溢れている。一方で「でも、このマンションの住民になる勇気は無いな」とアーチスティックになりきれない自分がいるのも確かだ。まことに異次元のクリエイターである。


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