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太田【寿司・人形町】 [江戸グルメ応援歌]

この春、本社から孫会社に転籍し、勤務先が日本橋人形町になった。サラリーマン最期の仕事場だろう。

着任以降、コロナ渦中でも、超アナログ企業につき毎日出勤し、粛々と通常業務をこなす日々が続く。

せっかくのお江戸日本橋、ランチタイムくらい楽しみたいものだが、このご時世である。名だたる老舗や流行りの名店の多くは、営業自粛に陥っている。そんな中、時短営業やテイクアウトで、息をつないでいる個人店には頭が下がる思いだ。営業の是非を問うべきではない、パチンコ店とは根本的に違うのだ。非常事態宣言延長の東京で、事業継続への想いと職人の意地を見せる店を、今後しばらく紹介していきたい。

日本橋界隈には寿司の名店が多い。だが、お好みであっという間に諭吉が飛んでいく店には、何度も通うつもりにはなれない。ランチタイムに良心的な価格で、しかも「大将」が握る江戸前寿司が、つむじ風の推す名店である。


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この佇まいに誘われて、初めて暖簾をくぐったのが、緊急事態宣言前のランチタイム。現在の勤務先から徒歩30秒である。平時は、行列待ちの有名店らしいのだが、私が伺った時は、8人がけ位のカウンターに2名が食べ終わった頃合いだった。ランチは3,000円と4,500円のみとの事で、当然、3,000円コースをお願いする。

「うちはシャリの量によって、普通・気持ち少なめ・少なめ・極小があるんですが、いかがします?」と、親父さんが聞いてきた。職人は一人しか見当たらないので、この色黒強面の割に優しい声の持主がご主人だろう。

いつもの癖で、思わず「普通で」と答えると、「普通で、よくある寿司の倍以上あるけど」と言われ、歳を考え「じゃあ、気持ち少なめ目で」と弱気に訂正、大将の目が優しく笑う。奥様らしき方が、お茶を運んでくる、箸は無い。

一貫目のマグロから圧倒された! デカい赤身とシャリの間に中トロに近い中落ちがたっぷりと仕込まれている。さっぱり目の赤身とトロのネットリとした脂が口の中で溶け合う。絶品である。中落ちと思われたのは、マグロの頭蓋付近の身を削ぎとった稀少部分との事。それにしても、シャリがデカイ。これで「気持ち少な目」とは...
次々と旬の素材が、全て大振りに握られてくる。白身も光り物も貝も美味い。後半戦の玉子と軍艦に至っては、思わず笑いが出ながら頬張った。大の大人が、一口で食べきれない大きさなのだ。イクラもカニ身も溢れる溢れる[exclamation×2]

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最後の巻物は選択制で、小生はかんぴょう巻き(気持ちサビ入り)を注文して、正味20分のランチタイムは終了した。この満足感と満腹感は久しぶりだ。

芸術品とも見紛う江戸前寿司も感動的ではあるが、そもそも寿司は江戸のファーストフードである。気楽にサクッと腹一杯が大原則なのだ。江戸前の技術をしっかりと受け継ぎながら、良心的に、しかも嫌と言うほどたらふく食わせてくれるこの店の凄さ。名店である。

緊急事態宣言後の先週にも行ってきた。20時閉店、ランチメインの時短営業をしていた。周りの老舗店は、ほぼ完全休業中だ。消毒液完備、カウンターは1席おきの着席にしていた。
昭和30年開業、現在、2代目店主が夫婦で切り盛りしている。

先代が、若いお客様に1人前でも腹一杯になって欲しいと言う思いから始めた「大握り」を今も引き継ぐ。

ランチ参千円は贅沢ではあるが、定期的に通って応援したい名店である。




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