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『DUNE/デューン 砂の惑星』 [上映中飲食禁止]


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冒頭の題名に「part1」と映し出され、今作だけで155分の大作が一話完結では無いと知る。(Laby様と同じ展開[あせあせ(飛び散る汗)])何度か映像化が試みられたSF小説の名作だが、壮大過ぎるドラマの制作は困難を極め、多くの失敗作や途中での企画中止を生み出した曰く付きの作品だ。1984年にあのデイヴィッド・リンチ監督が製作したが、4時間の作品を興行上2時間に短縮し公開した為か低評価に終わった。(小生は、STINGが映画初出演と知り、非常に観たかったが結局見逃してしまった)果たして今作は、過去の呪縛を振り払えるか[exclamation&question]

人類が地球以外の惑星に移り住み宇宙帝国を築いた未来。皇帝の命により、抗老化作用のある秘薬「メランジ」が生産される砂の惑星デューンを統治することになったレト・アトレイデス公爵(オスカー・アイザック)は、妻ジェシカ(レベッカ・ファーガソン)、息子ポール(ティモシー・シャラメ)と共にデューンに乗り込む。しかし、メランジの採掘権を持つ宿敵ハルコンネン家と皇帝がたくらむ陰謀により、アトレイデス公爵は殺害されてしまう。逃げ延びたポールは原住民フレメンの中に身を隠し、やがて帝国に対して革命を決意する。(シネマトゥデイより)

公開直後から評価が分かれているようだが、小生は久しぶりに胸躍るSF映画に接し、次回作への期待が大きく膨らんだ。スターウォーズとの既視感が拭いきれないのは当然で、ジョージ・ルーカス自身がこの原作からも着想を得た事を認めている。所謂、こちらが元祖なのだ。原作小説愛読者からは割愛部分が多過ぎるのだろうが、小生のような未読者には十分な内容だ。複雑な人間関係を理解するには多少の努力を要すが、弛緩の無い展開と演出で長尺155分が瞬時に感じられるほどだった。

上半身裸の華奢な美少年が夢にうなされる場面から壮大なドラマがスタートされる。アトレイデス国の王子ポールは実母ジェシカの血を強く引き継いでいる。ジェシカは全宇宙を操る超能力を持つ秘密結社ベネ・ゲゼリットのメンバーであり、レト公爵の愛妾としてポールを産み、実子の能力開花に力を注いでいる。この件が当初は理解出来ないのだが、ストーリーが進むごとに謎の端緒が見えてくる。スターウォーズ的に言えば「フォース」を得たジェダイのような存在にポールが成長し、その力を持って帝国打倒に立ち向かうのだが、多くの血を流す革命戦争に思い悩む主人公の姿が同時に思い浮かぶ...と、原作未読者のみが許される勝手な想像をしてみる。

圧倒的な映像の迫力が本作1番の魅力だ。後期のスターウォーズシリーズ程の細部まで緻密過ぎるCGでは無く、砂漠の惑星の世界観自体を優先した造り込みが素晴らしい。予算上の問題だろうが、アナログ的な香りも残った部分が絵画的な美しさを産み、逆に功を奏したというべきか。陽光に煌めく砂丘の美しさ、個性的な数々の宇宙船、おどろしい砂虫のフォルム等々、トンボ型のヘリコプターなどは斬新そのものだ。

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俳優陣も粒ぞろいの演技派を集めた。主役ポールに新進売り出し中のティモシー・シャラメ、母親ジェシカにはM:Iシリーズでお馴染みのレベッカ・ファーガソン。父親アトレイデス公爵にオスカー・アイザック起用となれば、これこそスターウォーズのデジャブなのだが、この親子3人がそれぞれの背負った宿命を外連味なく演じた。特にレベッカは想いを内に秘めた気丈な女性が良く似合う。

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小生好みで言えば、砂漠族フレーメンの部族長スティルガーを演じたハビエル・バルデムだ。「ノーカントリー」「ビューティフル」での怪演の通り、普通でない男を演じれば天下一品である。そして、ポールの予知夢に現れたフレーメンの女戦士チャニにはマルチアーチストのゼンデイヤだ。

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PART2では、ポールとチャニの関係が物語の中心になると思われるが、初々しくも実力派俳優同士のカップルが非常に魅力的だ。ゼンデイヤのスリムな肢体が作品内では防塵服に阻まれて拝見出来ないのが残念ではあるが[あせあせ(飛び散る汗)]

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砂の惑星アラキスの統治を帝国から命令され、宇宙のレアメタルとも言うべきメランジの採掘権を獲得したアトレイデス国だったが、これは陰謀だった。帝国に裏で後押しされたハルコンネン国の奇襲を受け、当主レト公爵は惨殺され、アラキスに移住したアトレイデス国は滅亡する。急激に力を付けたアトレイデスに危惧した皇帝が仕組んだ強大な罠だったのだ。辛くも生き残ったポール・ジェシカ親子は、砂漠の奥地に逃げ込み、アラキスの先住民たるフレーメン族と接触するのであった。果たしてポールは頑強なフレーメン族と手を組み帝国に反旗を翻す事ができるか?彼の隠された能力は何時目覚めるのか?ジェシカが息子に託す真の目的「クイサッツ・ハデラッハ」とは一体?

謎が深まるばかりのPART1のエンディングと共に次回作への期待が大きく膨らむ。カナダの鬼才ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の手腕が光るSF大作の序章の見事なスタートだ。前3作の「ボーダーライン」「メッセージ」「ブレードランナー2049」は高評価の割には興行的には大成功とは言い難かった。(全て小生好みの作風だが[わーい(嬉しい顔)])原作小説のDUNEシリーズは、「砂の惑星」を第1巻として全6巻の壮大なる宇宙大河絵巻なのである。なんとか今作が売れて最終章までの映像化を望みたい。「スターウォーズ」「ハリー・ポッター」が終幕した今、爺いとしても長生きしてでも最後まで観たいSF映画の大作が欲しいのである[どんっ(衝撃)]
まずは次回作でのポールとチャニが臨む聖戦の行方が待ち遠しくて仕方ない[かわいい][かわいい][かわいい]




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