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『TENET テネット』 [上映中飲食禁止]

この超問題作を読み解く事は出来るであろうか[exclamation&question]

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ウクライナでテロ事件が勃発。出動した特殊部隊員の男(ジョン・デヴィッド・ワシントン)は、捕らえられて毒を飲まされる。しかし、毒はなぜか鎮静剤にすり替えられていた。その後、未来から「時間の逆行」と呼ばれる装置でやって来た敵と戦うミッションと、未来を変えるという謎のキーワード「TENET(テネット)」を与えられた彼は、第3次世界大戦開戦の阻止に立ち上がる。(シネマトゥディより)

「宇宙の果てはどうなっている?」疑問から『相対性理論入門書』を読んだ少年期。タイムトラベルが理論的には可能らしいと知ったのを最後に、小生の科学への興味は薄れ、持ち前の文系脳ミソに凝り固まって行った。三十路を過ぎ、不朽の名作『バック・トウ・ザ・フューチャー』を観て拍手喝采ではあったが、実はストーリーを完全に理解する能力は既に失われていた[あせあせ(飛び散る汗)]

これが、クリストファー・ノーラン監督の『インセプション』『インターステラー』クラスの科学理論前提の難作にぶち当たれば、理路整然とストーリーを理解できるはずは到底無く、圧倒的な映像のみが脳裏に焼き付き、「凄い映画だった[どんっ(衝撃)]」という印象しか残らないのだ。DVDで何度か見返すごとに得る新しい発見に小さな喜びを感じるが、全面解明は未だに為されていない。

新作『テネット』は、この2作を凌駕する最新の量子物理学を下敷きにしたモンスター的映画である。ノーラン監督に、頭の中をグチャグチャにされたい自虐的欲求から鑑賞に及んだが、予定通り、放心痴呆状態の愉悦に浸らせて頂いた。

単純なタイムトラベル物でないのは覚悟していたが...緊迫感溢れるオペラハウスでのテロ事件後、「名も無き男」が世界を救えと指令される件で、早くも頭の回転が付いて行けず、拳銃から逆行する銃弾を見て、小生は決めた。展開に一々納得しながら鑑賞するのは止めようと。頭で考えず、映像を身体で感じる「つむじ風流ノーガード戦法」だ[がく~(落胆した顔)]

名も無き男(ジョン・デビット・ワシントン)と相棒のニール(ロバート・パティンソン)が、未来人からの司令で現代社会の滅亡を企むセイター(ケネス・プラナー)と、生死を賭けた戦いを展開する。その戦いの中で、名も無き男はセイターの妻・キャット(エリザベス・デビッキ)に恋い焦がれる...というシンプルな構成に頭を切り替えて鑑賞に臨む。


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ジョン・デビット・ワシントン〜オスカー俳優デンゼル・ワシントンの息子とはつゆ知らず...元アメフト選手らしい強靭な肉体と精悍な顔つきが特徴だ。父が彼と同年代時には「マルコムX」を演じており、今後に期待の遅咲きの新人だ。(父上の「マイ・ボディガード」は売れなかったけど個人的に[かわいい]

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一方のロバート・パティンソンは早くも円熟の演技。「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」でヴォルデモート側に殺害された優等生としての印象が強いが、渋い役者に成長している。彼の存在感・演技力が、今作に「ヒューマンドラマ」的な色合いを与えている。次期「バットマン」の主役を射止めたらしい。

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エリザベス・デビッキ・・・小生好みのブロンド嬢であります[揺れるハート]知的かつ清楚な色香を振り撒く30歳。しかしながら、脚線美は捨てがたいが、とにかく背が高すぎる...身長191センチですよ[がく~(落胆した顔)]亭主役であり今作の悪の権化であるケネス・プラナーも、女房と並ぶと、その威厳が少々弱まるようだ、まさに蚤の夫婦[わーい(嬉しい顔)]とかく金と地位を得た男は、近づき難い12頭身のモデルなどを我が物にしたい願望があるようだが、平民の単なるブロンド狂である小生は、160センチ以下のトランジスタ・グラマーを好む[パンチ]

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極力、CGを使用しないノーラン流圧巻のアクション・シーンは、今回も健在、更にパワーアップだ。オペラハウスの爆破、オセロ空港での航空機追突、逆行するカーチェイス、スタルスクでの戦闘...大金を惜しげも無く、リアルなシーン製作に注ぎ込む。爆破マニアたるノーラン監督の面目躍如だ。

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目まぐるしいシーン展開の辻褄をほとんど理解出来ぬまま、最終決着へ。
とりあえず、自分なりのこじつけのあらすじだと...

巨大な時間逆行装置「アルゴリズム」を使い「現在」の人類滅亡を企むセイターとその阻止の指令を受けた名も無き男が、アルゴリズム完成の最後の部品プルトニウム241の探索を巡って、過去の世界に遡って争う。結局、アルゴリズムを完成させたセイターが、それを起動させるであろう時間を予想し、名も無き男は最後の戦いを仕掛ける。それは、時間を逆行するチームと順行するチームに分け、ピンポイントで敵を挟撃しアルゴリズムを奪還する計画だ。名も無き男とニールは、ドラえもんのどこでもドア風の逆行装置に別々に乗り込み最終決着の場に飛ぶのであった...果たして彼らは、人類を救えるのか?そして名も無き男の正体とは。

エンドクレジットが流れる頃には、何故か非常に心が温まる気分に浸れた。奇々怪々の展開に振り回され、壮絶な映像に圧倒され、脳ミソは完全に麻痺状態にも関わらず、胸の奥から熱い愛おしさが込み上げて来た。
それは、名も無き男とニールの友情と信頼を超越した絆と、キャットへの淡い恋心が、作品の主題として成り立っているに他ならない。量子物理学的な逆行時間のプロットが別の手法であれば、この作品は、非常に純度の高い純愛スパイ映画である。007やミッションインポッシブルと同列なのだ。但し、ノーラン監督は、ありきたりの表現では納得しない稀代の映像魔術師であり、観客を迷宮に追い込むのに至上の喜びを得る変態芸術家だ。一回の鑑賞では誰も解明できない設定を作り込み、その実写化に途方もない金と時間を注ぐ。これが、クリストファー・ノーランの映画美学ではなかろうか。

またもや、彼の魔法に翻弄されながら、「今の映画」の素晴らしさを味わった。もう1回観ようかなぁ〜DVD化してから復習しようか、迷うところである。
ニールの正体が、キャットの一人息子が成長した姿のような気がしてならない。確認の意味も含めて、1日か14日の割引日に再鑑賞してしまいそうだ〜この映画じゃ女房は付いて来ないので夫婦50割引は無理だな[たらーっ(汗)]
Labyさま、やっぱり無理でした[かわいい]




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