来々軒【中華・水天宮】 [江戸グルメ応援歌]
不屈の町中華
ちょっと入るのに少々勇気が必要な雰囲気の店だった...
コロナ禍初期の昨春に、勤務先が変わったばかりで周辺をやたらと探索していて偶然に見つけた。店の看板が無い。不気味なほど真っ白な暖簾。来る者を拒むような曇りガラス。ウィンドウ内の色褪せした料理写真からなんとか「中華料理店」らしいと推測できる店構えだ。
怖いもの見たさも手伝って、この不可思議な謎の屋敷に入ってみる...が、店内は普通のくたびれた中華屋さんだった。テーブル席が3卓ほどとカウンター、普通の中年のおじさん二人が切り盛りしていた。先客が2名居り、カウンターの隅に座ってメニュー表を軽く一瞥して注文した。いわゆる「中華専門店」ではなく「町中華」と呼ばれる上海でも広東でも四川でもない地元客専用のなんでも中華屋さんに初めて来た時は、王道の「ラーメン+チャーハン」セットを小生は注文する事にしている。
ラーメンは正当な支那そばで鶏ガラスープと麺の絡みが絶妙、ナルトとメンマと気持ち程度のチャーシューが嬉しい。チャーハンは、しっかっりとした味付けで、米と卵は全くべとついておらず豪快な盛りと共に、料理人の手際の良さを感じる。なんとなく自分のDNAに刷り込まれた「昭和の味」が蘇って来る。中学高校時代のクラブ活動帰りに、友人達と腹一杯食った地元の中華屋さんの味なのだ。
この名を知らぬ町中華店の常連になろうと思い、その後も2度ほど顔を出したが、去年の秋に閉店してしまった。コロナの影響かと思いきやどうも小火を出してしまったらしい。この時期にダブルパンチを食らっては仕方ないと残念がっていた・・・が、先日久しぶりに元の店の前を通りかかったら、新しい小ぎれいな店が出来ていた。良く見ると『来々軒』という中華料理店のようだ...中を覗くと厨房には昨年鍋を振るっていた店主がいるではないか
当然の如く「ラーメン+チャーハン」セット注文