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劇場版『鬼滅の刃』無限列車編 [上映中飲食禁止]

カミさんに半ば強引に誘われ、観て参りました[かわいい]

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歴代の興行収入記録を次々と塗り替える前代未聞の映画だ。そう言えば、バイデン勝利確定で株式市場も活況、日経ダウも29年ぶりの高値回復だ。だが何かおかしい。この映画は非常に良く出来てはいるが、「千と千尋〜」や「君の名は。」を凌ぐ作品だろうか?バイデン次期大統領は、世界の期待を一身に背負うほどの政治家であろうか?
「虚飾の熱狂」・・・分断された社会での長引くコロナ禍で、鬱屈し行き場を失くした国民の心情が、一筋の希望の光の下に一気に収束した事態なのだろう。しかし砂漠の中で見つけたオアシス同様に、実はそれが蜃気楼であることも珍しくないのだ。こんな時こそ、廻りに惑わされず、自分の感性を信じるべきではないかと思ったりするのだが...

とは言え、実はこの作品に関しても小生の方がカミさんより詳しいのである[むかっ(怒り)]年甲斐も無く、流行り物にはとりあえずチャレンジする質で、昔の「エヴァンゲリオン」は再々放送からハマったものだった。この作品の連載漫画は未読だが、TVシリーズを密林プライムで視聴した。3日間で26話を走破できたのは、紛れもなく「次を早く観たい」と思わせる秀逸な構成に拠る。アニメとは言え血肉吹き出す場面が多く、「男の子向け」と感じたが、然もありなん。老若男女を問はず、空前の大ヒットというわけだ。その理由をつむじ風なりに考えると...

〜とにかく洒落た絵心。そして日本人が忘れていた古き日本の伝統文化や伝説を敷き詰めて、観る者の探究心を煽る。〜

時代背景は大正期なのだが、幕末でも大東亜戦争時でもないニッチな時代を敢えて舞台にする。日本が世界の列強に数えられた時期で、経済は急拡大し、文化面では江戸伝統文化と西洋文化が融合した独特の「大正浪漫」を生み出す。只今、人気沸騰中の「格子柄」の衣装や登場人物の名前の難しさ〜漢検1級クラス〜は、現代人の思考をくすぐる。炭治郎の振りかざす刀から巻き取られる闘気の描写は、葛飾北斎の浮世絵を彷彿させる。

浪漫漂う浅草
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こんな羽織も人気の秘密
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水の呼吸〜浮世絵の型[exclamation&question]
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人間と鬼との戦いを描いているが、桃太郎伝説の「鬼退治」にはならない。全ての鬼が以前は人間であり、単純な「正義と悪」の構図に収めていない。そして、鬼は増殖するのだが、ゾンビのように噛まれて無限に伝染するのではなく、鬼舞辻無惨というラスボスの手によってのみ生み出される。鬼たちは基本的に不死身であり、首を落とされるか太陽の光を浴びなければ絶命しない。この辺りは、ドラキュラや進撃の巨人などにも見られる難敵の唯一の弱点パターンだ。兎にも角にも、ラスボスの討伐無くして、平穏は訪れないのだ。

無惨様もお洒落なのだ
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一番の人気の秘訣は、キャラクター描写であろう。多くの登場人物(鬼も含めて)を、出自・性格等を丁寧に描き、小学生では読めない漢字の羅列の命名にしている。観る者の嗜好によって、感情移入できるキャラを豊富に揃えた劇画ならではの面白味だ。特に主人公である竃門炭治郎の「底なしの優しさ」と「怠らない努力」は特筆であり、世の母親たちは、自分の子供はこう育って欲しいと願うのではなかろうか。一介の炭焼きの少年が、鬼化した妹を救う為、一歩づつ剣士としての力をつけていく様は、昔からのスポ根漫画に類似しているし、友情と信頼で結ばれた仲間が力を合わせて戦い続け、剣技を磨き、ラスボスに立ち向かう様は、まさにドラゴンクエスト状態。水・炎・風・雷などそれぞれの呼吸法と剣技を身につけている鬼滅隊の柱達は、南総里見八犬伝に登場する八剣士みたいだ。そしてシビアな戦闘の合間に差し込まれる笑えるシーンの数々が、痺れた身体を和ませる効果大なのだ。

デフォルメされた表情は”漫画”そのもの
実は斬新なアイデアは余り無い。ただ江戸時代から昭和にかけての日本文化〜古典・浮世絵からファミコンRPGまで〜を微細にわたり研究し、随所に取り込んだ原作者「吾峠 呼世晴」氏の執念は賞賛に値する。汚い現代用語を使用せず、美しく力強い『日本語』を多用するのにも好感が持てる。そして一貫したテーマである「人間愛」を真正面から描き切る潔さ。多くの日本人が忘れていた、古き良きニッポンを再発見する事象に溢れた素晴らしいアニメである。

今作の内容には全く触れていなかった...
とにかく準主役扱いの煉獄杏寿郎(これも読みにくい[あせあせ(飛び散る汗)])の勇姿に拍手を送ろう[ぴかぴか(新しい)]

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久しぶりに映画館に足を運んだファミリーが、この作品をきっかけに多くの他の映画にも触れてもらいたいものだ。全集中で[わーい(嬉しい顔)]

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