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『さくら』 [上映中飲食禁止]

こういう映画が刺さるんです[ぴかぴか(新しい)]

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タイプでは無いが、今最も気になる女優〜小松菜奈〜が出演と知り、内容自体は予備知識ゼロで臨んだ作品だったが、素晴らしかった。
胸に優しく深く刺さる感覚が堪らない[もうやだ~(悲しい顔)]

消息不明の父親が2年ぶりに家に帰ることになり、長谷川薫(北村匠海)は実家に向かう。2年前、家族は長男・一(吉沢亮)の死をきっかけに離れ離れになっていた。薫は妹の美貴(小松菜奈)の誕生や愛犬のサクラとの出会いなど、幸せだった日々のことを思い浮かべる。そして大みそか、家族にとって奇跡のような出来事が起きる。(シネマトゥデイより)

3人兄弟の次男・薫(北村匠海)の一人称で物語は進む。彼の記憶が幼少期に遡り、幸せな5人家族が、一匹の犬〜さくら〜を迎い入れる場面から始まる。

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ありきたりなホームドラマのように、前半は淡々と進むのだが、家族全員の個性を押し付けがましくなく、自然と描き出す見事な演出である。そしていつもながらであるが、母親役の寺島しのぶの演技が絶品だ。夫婦の夜の営みの声を娘に聞かれた母が、朝食時に、子供達にレクチャーする性教育の場面は、抱腹絶倒でありながら邦画史に残る名演かもしれない。

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中盤から、子供達が思春期に入り、3人それぞれの青春を色とりどりに魅せていく。長男・一(吉沢亮)は、野球部のエースにして学校一の人気者だ。美人の彼女・矢島優子(水谷果穂)も出来、幸せ一杯、まさに長谷川家の一等星だ。地味で周りに流されやすい弟の薫(北村匠海)は、何かと出来過ぎの兄と比較されるが、決して屈折する事なく、マイペースで生活を楽しむ。学年トップの才女山谷花純に見初められ、呆気なく童貞を喪失するシーンには、青春の甘酸っぱさが溢れる。両親に甘やかされて育った美樹(小松菜奈)は、自由奔放かつ勝気な女子高生に成長していた。親友がレズビアンと知っても全く差別する事なく、友情を続ける。そして、彼女には、子供の頃から憧れ続ける人がいた。長男の一だ。兄と彼女の交際が進むのを目の当たりにし、嫉妬に悩み苦しむ美樹の何といじらしい事。そんな子供達を優しく見守る両親。全員が精神的に自立し、むやみに寄り添う事もなく、ただ自然と佇む素晴らしき家族だ〜その家族をじっと見つめ続ける末っ子ともいうべき「さくら」の姿があった。

夫の浮気を問い詰める寺島しのぶ、審判する「さくら」〜これも迷場面〜
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終盤、一と優子の別離から家族のバランスが徐々に崩れ始める。美樹の嫉妬心は、倒錯した兄への愛へと昇華し、彼女から届く手紙を全て隠し続ける。傷心の一は、或る日、交通事故に遭い下半身不随の生活を余儀なくされる。車椅子の兄を甲斐甲斐しく介護する美樹に笑顔が戻る。「やっとお兄ちゃんは私だけのモノになった」輝く太陽だった長男が一家の暗い重しとなり、家族の関係は軋み始める。のも束の間、一は呆気なく自死を選ぶのであった...

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この件に至る小松菜奈の演技が際立つ。葬式中に、へらへらと笑いながら失禁する姿は、愛する人を失った計り知れない衝撃を十二分に表現していた。
その後、父(永瀬正敏)は無言で家を出て行方知れずとなり、次男・薫は大学入学により上京し、一家は散々となる。それから2年の月日が流れた年末、唐突に父から「家に帰る」と連絡が入り、久しぶりに家族が集まる事になった。実家に戻った薫が見たのは、一見昔と変わらない、寡黙な父、元気一杯の母、明るく色っぽくなった妹、そして年老いた「さくら」の姿だったのだが...

前後半のギャップの激しさが、「幸福」という形が如何に脆いものなのかを如実に表す。同時に「家族」という形の価値観さえも問いてくるような構成である。家族の皆が、それぞれに長男の死を背負いつつ、時をかけながら自分を取り戻し、日常生活へまた彩りが加わえて行くのだ。残された者達の自然な生き様が美しくて堪らない。作品内では、LGBTや近親愛、DV・障害者介護から自殺の問題まで、現代が抱えるテーマが目白押しに組み込まれ、伏線が絡み合っている。だが、映画全体から、必要以上に重苦しさを感じず、逆に清々しい気分になるのは、生きる人間の強さの方に多くの光が当てられているからに他ならない。寺島しのぶ・小松菜奈を中心にした女優陣が魅せた女の逞しさと「さくら」の迷演が、更にそれを際立たせた。笑いと悲しみの配分が見事な、あえて『喜劇の傑作』と呼ぼう[exclamation×2]エンドロールでの東京事変「青のID」が胸を焦がす[たらーっ(汗)]

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本作の実質的な主人公である小松菜奈
演技力はもちろん、ホットパンツを穿いた彼女の脚の美しさは強烈であった[揺れるハート]
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独りよがりのつむじ風大予想
来年、大ブレイクする女優は
小松菜奈
浜辺美波
で決まりじゃな[パンチ]


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